日記80

・え~週末なので気を抜いた与太話をします。「センスとは何か」っちゅう話。これ、ずっと書きたかったんですよ

・で、その前に、「悪童日記」(アゴタ=クリストフ)、何なんですかこれ、なんつー小説なんですか、今年に入って読んだ本の中で間違いなく一番衝撃的

・何日か前に、「どうしてこんな面白い小説を学校で紹介してくれないのか」みたいなこと書きましたけど、こんなハードな小説を多感な子供に読ませられるかい

・人間の生き死に、戦争という暴力、愛憎入り混じる人間関係、全てが恐ろしいほど淡々と描かれてます。ざっというと、恐らく第二次世界大戦中のハンガリーと思われる土地を舞台に、双子の男の子が親元を離れて意地悪なおばあさんのもとに預けられるっちゅう話。人間の名前も、土地名も、何一つ固有名詞が出てこないのに、身を切られるほどリアル

・こういう読書体験をすると、また別の本が読みたくなりますねっつーことで、お出かけ帰りに古本屋に寄って本を買ってしまった。「蒲団」(田山花袋)、「バビロンに帰る」(スコット=フィッツジェラルド)、「談志 最後の落語論」(立川談志)、「本当の自分を見つける文章術」(”If You Want to Write”、ブレンダ=ウェランド)。どういうラインナップやね~ん 最後のはブログを毎日続ける自分を正当化するために買った

・さて、センスの話。

・「暮しの手帖」という雑誌の元・編集長で、松浦弥太郎さんという人がいますが、その人が「センス入門」というずばりな著書を出しています

・松浦さんのブログがあった。3月2日更新の「よく見る 心を見る」っつー記事、いいですね

https://kurashi-no-kihon.com/

・んで、まあ「センス入門」に何が書いてあったかはあんまり覚えてないんですけど、巷でよく言われる服とか持ち物とか、いわゆるファッションの「センスがいい/悪い」っつーのは何だろうと自分なりにじっくり考えてみると、「周りを気遣う気持ちがある/ない」ということだと思うんです。「センスがいい=周りを気遣う気持ちがある」ってことね、念のため。

・あのー、マナー本とかによく「センスがいい人=TPOをわきまえられている人」という方程式が書かれてますけど、これも上記に当てはまると思ってます。周りがどんな状況か分かってない人がTPOをわきまえられるはずがありませんので

・ぼくもファッションセンスが良くなりたいと思って、学生時代に色々と雑誌や本を読んだり、おしゃれな友達に話を聞いて勉強してたクチですけど、服装について最も重要なのは「清潔感」である、とあらゆる人が口をそろえて言うわけでありまして、例えばシャツにシワがよってないとかの物理的な清潔さがスタート地点であるわけです。あ、もちろん、服装だけじゃなくて、ちゃんとヒゲ剃ってますかとか、その辺のケアも含む話ですけど、今日は服装だけにフォーカスします

・で、なんで清潔感がないといけないかというと、これはまさに、「その日会う人に失礼がないため」でありまして、つまり清潔感のある服装を心掛けられる人は、相手に対して気を遣える人だということです。その日会う人がぱりっとしたファッションでいてくれると、こっちの気分もアガるっつー話をしてます

・そんでセカンドステップが、カジュアルとフォーマルの綱引きをうまいことできてますかって話でして、まあ要は男性であれば、ある程度格式のあるレストランにはジャケットくらい着ていきましょうねっつーことです

・これはその日会う人よりももっと広い相手に対して、例えばレストランとかを含む社会的な場で、周りの環境のことがどれだけ分かってますか、マナーやらTPOをわきまえられてますかって話です。別に堅苦しくかしこまる必要はなくて、葬式に真っ赤なハンドバッグ持ってきてませんかってだけの話です。これについても、センスある人は周りを気遣える人だっていうことですね

・で、このへんの最低限のことを満たしたら、あとは自分に合う(サイズもデザインも)服を着てたらいいと思うんですけど、ぼくは「その日着る服を通して、人は知らず知らず周りにメッセージを発している」ということを忘れないように心がけてます

・先に具体例を挙げると、ぼくの場合は、まず色については、なるべく黒、白、グレー、紺の四色だけで済むような服装にします。また、服を買うときには、ある程度身体のラインが出るような、つまり標準もしくは少しだけタイトなサイズを心掛けます。その時どんなに流行っていても、だぼっとした服は買わない

・そのうえで、それだけではつまらないので、まずこのベースカラー以外の色を一色だけ入れる(ないしは柄モノを一つだけ入れる)ようにします。もしくは、素材が面白い物、つまりただの綿じゃなくて、ビニールっぽいものとか、季節によってはウールのニット、ジーンズ生地、レザーなんかを一点だけ入れます。色か素材か、どっちかでハズす

・で、これが何のメッセージなんじゃいということですけど、まずは「自分はある程度、整理された人間ですよ」ということ、つまり、とっ散らかったプライベートを送ってませんよということを、無意識に伝えてるわけです。ある程度社会に順応した人間ですということを伝えるために、くだらねーと思いながらもファッション誌を立ち読みして、自分と同じ年代の人間が一般的にどんなブランドの服を買ってるのか、インプットもすることもある。そのうえで、真面目一辺倒じゃなくて、ある程度遊び心ありますよ、というメッセージを伝えるために、色や素材を使ってるんですね

・身体のラインについては、ある程度自分に自信がありますということを暗に伝えてます。ちなみに、同じ理由で普段はサングラスもかけませんし、ゴツいブーツも履きません。

・本心ではあんまりないです、自信。自分に本当に自信があるやつが夜な夜なブログなんか書くわけないだろ

・で、まあ何が言いたいかっつーと、ファッションセンスっていうのは意外と、その人そのものが対外的に発するメッセージを含んでますんで、ある程度周りに気を遣えているかどうか、つまり自分のことを客観視したうえで適切なメッセージを発信できるように心がけましょうという、自戒のお気持ちを表明したかった

・もっとも、念のためですけど、どのブランドがどうのこうのみたいなファッションギークの話は死ぬほどくだらねーと思ってるし、あまりにコマーシャルな流行にキャッチアップする気はさらさらないです

・おつかれっした