日記476

・今日は英語の話です。自分の秋学期を振り返って、英語の理解力/発信力がどうだったかを改めて振り返ります。

・最初はいわゆる言語の 4 技能について、それぞれ授業や友人とのコミュニケーションに必要な能力をブレイクダウンしてみて、自分の実力を評価するマトリックスを作ったんですよね。ただ、評価をするうちに、このマトリクス自体が重要なわけじゃなくて、そこから見えてきたインサイトがあったので、それについて書きたいと思います。

・今日のテーマを一言で言い切るとすると、やっぱり「話せないことは理解してないことと一緒」ということなんですね。つまり、授業を受けてみて、なんとなく理解したつもりになっていても、それを自分の言葉話すことがきないというのは、これは理解してないのと一緒かなと思いました。

・もう少し言うと、「理解をするということ」と「発信をするということ」が表裏一体である、ということが、少なくとも英語という言語においては強く妥当する、というのが今日のメッセージです。

・これに関しては、英語について、よく表面的にというか、少なくとも自分には今までそう聞こえてきたということなんですが、英語を理解するためには、英語の思考のフレームワークを自分の頭の中に作らなきゃダメだみたいな話がよくあると思うんですけど、それを今、実感を持って理解しているということです。

・つまり、何かを理解する=何かを話す/何かを発信するということを、英語という言語のフレームワークの中でやっていくということが大事なんだなということを今日実感したので、その話をしていきます。

・さて、自分が最終的にどうなっていたいかというと、これは今学期の目標としても掲げてるんですけど、例えば論文とかを与えられた時に、それをさっと読んでポイントをつかむことができ、その上でその知識を議論に使うことができるということ、なんですね。

・この「議論に使える」ということ、つまりスピーキングして発信するということなんですけど、それがどういう状態かと噛み砕いて考えてみると、例えばその論文から得た情報を自分の既知の情報と比較できるということに他ならないんじゃないかなと思ったんですよ。

・つまり、何か論文を読んでみて、新しい知見が入ってきて、それを例えば今までの自分の経験と比較して語ったりとか、自分の知見とどう相似/差異してるかを語ったりとか、抽象度を上げてみたり下げてみたりして話せる状態を目指したいんです。

・そうすると結局、今までなんとなく論文をぼんやり読んだりとか、あるいは授業に関連するビデオを見るとか講義を聞いたりする際に、必ずしもすべてがしっかりと頭に入ってこなかった理由もなんとなくわかるんです。それはつまり、わかりやすく言うと目的意識が不足していたというか、何で授業を受けなきゃいけないのかとか、それを通じて何を知りたいのかというのが自分にとって明確になってなかった可能性があるんです。

・つまりそれは、自分の経験とか知見というものと結びついてないということなんですね。要は論文を読んだ結果を自分の議論の材料として語る自分の姿を想像できなかったんですね。

・これは多分、英語的に言えば、読んでいる英語表現が自分の中であまり立ち上がってこない、自分の心の中に生き生きとビビッドに描かれてこないということが起きていたんじゃないかなと思うんです。

・なのでファーストタスクとしては、自分の頭の中に既にある経験とか知見とか情報というものを言語化することが挙げられます。結局情報って、何かと結びついて初めて生きたものになるわけで、まずは自分の知識を棚卸ししないと、その結びつきができる基礎が整わないんじゃないかなと思います。

・なお、英語の思考のフレームワークについて少しだけ触れておくと、すでに例えば論文を読んだ後にポイントをまとめるということを先学期にやっていたんですね。論文をまとめる際の切り口、すなわちフレームワークというものはすでに持っていて、それは例えば「この論文は何を言おうとしているのか」とかそういうものですが、それはすでにいくつか持ってるんです。”What Can you Make a Use of This for You?”、とかね。多分、どこかでやるべきなのは、このフレームワークのバリエーションを増やしつつ、よりグラニュアルにする、ということです。

・棚卸しに戻ると、具体的にはミクロ経済学とかが今学期の必修になっているので、まずは今まで自分が学んだミクロ経済の知見のうち、今頭の中に入っている事項を、人に説明できるものとできないものに峻別しておきたいなと思います。それがファーストステップ。

・次に、もう少し別の角度からも考えてみたいんです。つまり、何か授業を受けました、あるいは論文読みました、と言うと、そこには必ずメッセージがあるわけですよ。授業で吸収しなきゃいけないメッセージとか、ある論文を読んだ際に得られるはずの知見、つまりオーサーが言いたい事というのがあるんです。そのポイントをつかまなきゃいけないじゃないですか。それがゴールですよね。

・ここで改めて整理したいのは、人の主張とか人の伝えたいことを「理解した」と胸を張って言えるのはどういう状態なんだろうということです。

・冒頭書いた通り、それは自分の言葉として、その主張を再解釈して発信できるような状態にすること、つまり理解と発信は表裏一体だということに尽きるんですけど、それだけだとまだぼやっとしているので、その話を今突き詰めて考えたいと思ったんです。

・まず押さえておきたいのは、だいたい論文とか授業とか、あるいは人がしゃべること/主張/伝えたいことには、必ずこれを支えるための論証とか説明、各論と言ってもいいかもしれないけれども、そういうものが必ずついている、ということです。つまり主張と論証が必ずセットになっているというのが、これが基本形ですよね。

・もちろん「お腹が空いた」という主張だけをされてもいいんですが、それぐらいのことは自分はすぐ理解できるので、ここで問題にしたいのはもっと複雑な話、つまりぼくが今、英語で理解が及んでいない領域の話です。

・この領域では、主張と論争がセットになってると思うんですね。必ず最低限、この主張は理解しなきゃいけないよねと。ということなんです。で、ぼくの考えでは、この主張の論証の仕方というのは、 いくつか段階というか、グラデーションがあると思うんすよ。

・ものすごく分かりやすい主張は、直接的な主張。例えば授業とか論文の中とか、 I think とか We believe とか We found とかというのが出てくれば、あ、これ主張だな、重要だなとわかるわけじゃないすか。

・多分、これを捕まえることは結構できていると思うんですよ。一方、この直接的な主張って多分割合にすると話者の発話(書き言葉含む)の全体の 5% ぐらいしかないんじゃないかなと思うんですよ。

・代わりに多いのは、間接的な主張ですよね。話者自身の考えを例えば伝聞によって主張する、例えば「あの論文でこんなことが言われている」とかというもの。特に、今日お話する中で一番大事だなと思うのが、この間接的な主張の中に含まれているもので、いわゆる「語り」というものがあると思うんですよ。

・それは事実の伝達ということで、個人的に英語でこれは description だと思うんですけど、何かを描写するという主張の仕方があると思うんすよ。これが、人間の発する主張的言語コミュニケーションのほとんどを占めてるんじゃないかなと思うんです。主張だけの主張ってなくて、description を山ほどやったうえで、最終的に主張につながる、と。報道なんかに至っては全部 descriptionですよね。

・とにかく describe して、その中でこう、主張っぽいものをにじませていくというものが、これが現実世界で起きてる主張、メッセージの伝え方なんじゃないかなと気がついたんです。

・そうするとこの description の中で特に大事になってくることが一つあるとぼくは思っていて、それは当たり前なんすけど、登場人物なんですよ。別に人じゃなくてモノでもいいんすけど、登場人物なんです。

・人が英語で何かを describeする時に、主語が登場しない事ってないんですね。当たり前ですけど、英語で S を含まない文型って1 個もないわけですよね。

・ぼくは結構、今までこの S、主語の部分を結構適当に処理してきちゃったんじゃないかなと思ったんですよ。この主語を、リスニングでもリーディングでも、英文解釈してはっきりさせていかなきゃいけないと思います。英語って必ず S が最初に来るじゃないですか。疑問代名詞も含めて。そこをきっちり聞けると、きちんと頭から全部英語が頭に入ってくるって気が付いたんです。

・さっき実験もしたんですけど、人の話を聞くときに、とにかくこの主語が何なのかというのをイメージするんです。つまり単語じゃなくて、本当に description 、例えば絵とかイメージとして頭の中に描くと、すっと入ってくる、そういう直感を今、覚えてます。例えば、じゃあ何か、リモートワークの状況について説明をしている人がいて、その人が例えば ”One third of employee…”とかって話し始めたら、これまず絵として頭に思い浮かべるんです。例えば円グラフを書いて、その 33% ぐらいを赤くするんですよ。三人の人のピクトグラムでもいいんですけど。

・その後ろはまあ、頑張って聞くんですけど、とにかく今までよりもこの主語の部分、主体の部分をきっちり区別して、頭の中に主語登場人物を思い浮かべて聞く、あるいは読むということを心がけることが大事なんじゃないかなと思うんです。

・そうすると、相手の description もスッと入ってくるんですよ。自分の頭の中で、登場人物がどうにかなっているイメージを膨らませられると思うんですね。で、自分が発信するサイドに回った時も、そのイメージを、言葉じゃなくてイメージを後から思い出すんですよ。ポンポンポンと 3 人、人がいて 1人が赤くなってるのを思い浮かべて、その人だけがリモートワークしてるみたいな絵を、思い浮かべるんです。

・そうすると自分としても、いくらでも description の仕方があるわけですよ。One third of と繰り返してもいいし、33%と言ってもいいし、そういうことをパラフレーズする能力はたぶん付いてきています。

・なので、今やらなきゃいけないことは多分、何が主語なのか、文中とか話者の話の中で、今、何が主語なのかというのを、きちんと英語の知識に基づいて見極めるという事を、もう一度やろうと思います。

・主語と言ってもいろいろあるわけじゃないすか。動名詞だったり代名詞だったり、いわゆる仮主語/意味上の主語とかというやつがいろいろあるわけですけど、その中でも「本当の主語」をうまくリスニングやリーディングの中でピックアップしていくみたいな、多分そういうことが今一番大事なんじゃないかなと思うんです。きっちり意味上の主語を取れるようになったら、自分が何かを英語で説明する時もかなり役に立ちます。

・まとめると、主語が何か、主体が何かを紙芝居として、相手が何を describe しようとしているかというのを強烈に思い浮かべるということを意識しましょう、と。同時に、自分の知識をもろもろ棚卸して、それを英語にしましょう、と。今はもう、音声で自分の知識の棚卸しができる時代なので(書くのは嫌いだけどしゃべるのは得意です)、それをただChatGPTでもなんでもいいので英語に変えてもらえば、自然な表現を学べます。

・そして発信が必要な時には、必要な引き出しを開けて紙芝居を出して、紙芝居に書いてある絵を describe すればいいんすよ。そんな感じでやろうかなと思います。そうすると多分、これまでの丸暗記英語みたいなのを避けられるんじゃないかなと思ってます。

日記475

パリ政治学院MPAプログラムの集大成として、Policy Projectに参加予定です。プロジェクトの概要は以下HPの最終段落をどうぞ

Master in Public Affairs | Sciences Po School of Public Affairs

・これに参加するに先立って、自分の考えをいろいろと整理した結果、このプロジェクトに参加しながら個人的に「失敗ジャーナル」というものをつけようと思いました。

・以下では、このアイディアについて説明しています。日英、両方で書きました。

 

なぜ失敗ジャーナルを書くのか / Why Write a Failure Journal?

今学期はポリシープロジェクトに取り組むわけですが、そもそもこのプロジェクトは失敗すると思ってます。もちろん私はこのプロジェクトを成功させたいですし、成功させるためにあらゆる努力をしたいと思います。ちなみに成功例は以下のようになります。

Content Regulation in France, the UK and China: Our Work with Sciences Po Students

一方で、やっぱり物事ってそんなにうまくいかないですし、自分にとって母国語以外でチームプロジェクトを回していくっていうことは初めての経験なので、これが初めからうまくいくというイメージは沸きません。

As I embark on a policy project this semester, I'm bracing myself for the likelihood of failure. Despite my desire for success and willingness to put in every effort necessary, I find it hard to imagine everything going smoothly right from the start, especially as this is my first time managing a team project in a language that is not my mother tongue.

大事なことは、これはどこかで失敗するという可能性を頭に入れた上で、どこで自分が、あるいは自分たちが失敗したかというのを振り返ることができるように、その記録をつけておくということです。このプロジェクトのどの段階で失敗するかをあらかじめ考えておき、その対処法をまずは考えましょう。

Acknowledging the possibility of failure and maintaining a record of where I/we might go wrong is crucial. By anticipating potential pitfalls, I can devise preliminary strategies to address them.

そして、それでも失敗すると思います。その差分、つまり事前に防げると思ってたけど、結局防げなかった問題、あるいは、そもそも起きることが予想できなかった問題、というのを見つけていくというのが、この失敗ジャーナルの重要な点です。

Yet, I believe we will still encounter failure. The essence of the Failure Journal lies in identifying issues that I thought could be prevented or completely unforeseen.

もっとも、ジャーナルの本質はもう少し向こう側にあります。それは、次に自分が、何かグループプロジェクトをする時に、このジャーナルを活用して、どこでチームのプロジェクトというものがつまずくのかに関して、レッスンを蓄積するということがこの記録の本質です。失敗を経験として後から振り返れるように記録しておくということが一番大事です。

The true nature of the journal, however, goes beyond mere documentation. It serves as a reservoir of lessons for future group projects, allowing me to reflect on and learn from our missteps. The most critical aspect is recording these experiences for retrospective analysis.

ということで、前編と後編に分かれてやります。まずは問題発見編、後半に解決策編ということで解決策を探っていきます。解決策編の最後のゴールとしてて、どうやって問題を防ぐかという観点で、使える/ストックしておきたいタンジブルなフレーズをいざという時のために考えておこうかなと思います。

This series will be divided into two parts: first, identifying the problems, and second, exploring solutions. The ultimate goal is to develop actionable phrases to prevent issues, ready to be used when needed.

問題発見編 / Identifying the Problems

問題発見編です。このプロジェクトがどこで失敗するかを考える切り口はいろいろあると思うんですけど、僕は大きく 3 点だと思います。1 つ目はプロジェクトの入り口、あるいはプロジェクトの前半のところで、「クライアントのニーズを見極める」という段階で失敗すると思います。 2 点目は、プロジェクトの次の段階として最終的にソリューションをアウトプットとして提供しますが、この「ソリューションの提案」に失敗すると思います。3 点目はこの「ニーズの見極め」と「ソリューションの提案」の両方に共通して起きること、つまりどっちのステージでも起きることだと思うんですけど、「チームのマネジメント」、ないしはチームのコミュニケーションと言ってもいいかもしれないけど、そういうところでつまずくと思ってますので、この 3 つの複合的な要因によってこのプロジェクトは失敗すると思います。

I foresee three main areas where the project may falter. The first is at the initial stage, where we could fail to assess the client's needs accurately. The second is at the stage of proposing solutions, which we might also struggle with. The third is a common thread across both stages: team management or communication, which could lead to stumbling blocks.

クライアントのニーズの見極めに失敗する / Failing to Assess the Client's Needs

まずはそのニーズの見極めというところですけど、ニーズを見極めるとか、あるいは後半考えるソリューションの提案のところもそうなんですが、実際にその失敗例としてどこのタッチポイントで失敗するかっていうことを以下に書きます。ここでは6点ほど考えました。

Discerning client needs can be a complex task. There are several touchpoints where we might fail in assessing needs, and here, I outline six potential pitfalls:

まず 1 点目は、「深い思考」ができないリスク、つまり一般論や目についたソリューションに場当たり的に飛びついてしまうこと、言い換えるとソリューションの提案に急いでしまうというリスクです。

The Risk of Shallow Thinking: The tendency to latch onto superficial solutions or rush the proposal process without deep consideration.

2 点目はこれに似た話で、自分としては1点目の状況を理解して深い思考をできていて、クライアントが本質的に求めるいわゆる「ニーズ」と呼ばれるようなことを見極めなきゃなぁと思っているものの、ほかのチームメンバーがそうした状況に陥るリスクです。つまり、場当たり的にソリューションに飛びついてしまうとか、「なんかとりあえずインタビュー調査してみようぜ」とか、そういう状況にチームが陥ることを自分が止められない、止めるべきところでブレーキをかけられないというリスク、これが 2 点目です。

The Risk of Shallow Thinking from a Team Perspective: The second point of potential failure is akin to the first: while I may grasp the concept of deep thinking and the essence of what the client truly needs, there's a risk that other team members might fall into the trap of superficial solutions. Imagine the scenario where the team opts for an ad-hoc approach instead of delving deeper—perhaps saying, "Let's just do some interviews for now." This is where I may find myself unable to halt the momentum, failing to apply the brakes where necessary. That is the second pitfall we face: the inability to prevent the team from hastily jumping at solutions without a thorough understanding.

3 点目も似ていて、この「深い思考」ができないリスク、つまりクライアントのニーズを深く見極めることができないリスクが、プロジェクトのあらゆるフェーズで顕在化し得るということを認識していないという問題です。それはどういうことかというと、クライアントのニーズやソリューションの方向性というのは、1 回見極めてしまえばそれでおしまいというものではなく、プロジェクトが進行していくにつれて、あるいは時間が経つにつれて、プロジェクトの本当のゴールというものが変化していく可能性があるわけです。しかしその変化にキャッチアップできず、なんとなく場当たり的に、ニーズを見極め切った気になってしまう、そういうリスクです。例えばソリューションの方向性が見えたと思って、ちょっと調べてみたらすでに誰かが提案済みです、なんていう状況になった時に、それに対応できず時間がなくなって、なんとなくまた別のソリューションに飛びついてしまう、というリスクがありえると思います。

The Risk of Shallow Thinking at Any Stage of the Project: This issue arises from a lack of awareness that understanding the client's needs and the trajectory of solutions isn't a one-and-done task. Instead, the real objectives may shift as the project moves forward or as time evolves. Failing to keep up with these changes could lead us to mistakenly believe we've fully grasped the needs—a false sense of completion. Imagine realizing the direction for a solution seems great, but a quick check reveals it's already been proposed. The risk here is that we may not have the capacity to adapt, and as time dwindles, we might hastily latch onto an alternative solution—a reactive rather than proactive approach to problem-solving.

4点目も結構大事なんですけど、そもそもクライアントが問題解決を望んでいない/ソリューションを望んでいないっていうパターンがあり得ます。そもそもクライアントが「どうせ、こんなのは学生さんのプロジェクトだから」というスタンスで、核心に突っ込んだような分析は不要だとなると、プロジェクトは失敗します。その場合、学生、つまり我々に対して裁量やデータ、クライアントの知見を共有しないからです。クライアントが、本質的なソリューションの提案ではなく、あくまでも授業の一環として授業が丸く収まればいいよと、それっぽいものを出してくれればいいよというようなことを望んでいるリスクがあると思います。

The Client's True Intentions: A crucial point often overlooked is the possibility that the client may not actually desire a resolution or a solution. There is a scenario where the client may perceive the endeavor merely as a "student project" and deem a deep-dive analysis unnecessary. In such cases, the project is set up for failure—not due to a lack of effort from the students but because the client may withhold vital discretion, data, or insights. This leads to a situation where the client is satisfied with a superficial outcome that neatly ties up a class exercise rather than seeking a substantive proposal. The risk here is that the client's actual expectations are for something that merely appears to be a solution without the need for it to be genuinely effective or innovative.

5 点目はクライアントと学生のポジション立ち位置が不明瞭なままプロジェクトが進行していくリスクです。この場合、ニーズの見極めは難しくなります。なぜなら、先ほどの話ともちょっと繋がるんですが、クライアントのスタンスが曖昧で、そもそもこちらのことを単純に学生としか思っておらず、何か斬新なソリューションを提案するとも思ってない場合、我々の立ち位置がものすごく曖昧になります。クライアント側がきちんとこちらを、ソリューションの提供者である、かつ自分たちはクライアントであるというふうなスタンスを明確に示してくれれば、あるいはクライアントにそう示させることができれば、このリスクは回避することができます。

Unclarified Stance: The fifth point of concern is the risk associated with ambiguous roles between the client and the students as the project progresses. This ambiguity complicates the process of identifying needs. The connection here is that if the client's stance is unclear and they regard the participants merely as students, without expecting any innovative solutions, then our position becomes incredibly vague. If the client were to clearly define us as solution providers and themselves as the client, or if we could ensure they adopt this perspective, then we could avoid this risk. Establishing clear roles is essential for the project.

最後 、6 点目は、プロジェクトのスコープがものすごく曖昧であったり、あるいはアウトプットのイメージが曖昧なまま、プロジェクトが走っていくリスクです。すでに来ているプロジェクトのお題に関する資料に、プロジェクトのスコープって一応書いてあるんですけど、それでもかなり曖昧です。つまり、アウトプットイメージのすり合わせができていないということです。クライアント側にも、ぼやっとしたイメージしかないと思います。お題に対して、解決策の提示を望んでいるのか、あるいはもう少し行って、その解決策の実効性の検証まで求められているのか、あるいはもっと前の段階で踏みとどまって、調査・分析結果を示してくれればそれでいいよと思っているのか、このあたりが早い段階でしっかりと把握できていないと難しいんじゃないかなと思います。

The Haziness of Project Scope and Outputs: The final point addresses the risk of proceeding with a project when the scope is vague, or the envisioned output remains indistinct. Even when the project documentation lists a scope, it can still be quite unclear, indicating that the expected outputs must be appropriately aligned. It seems likely that the client also has only a nebulous idea of what they want. Are they looking for just a proposed solution, or do they expect us to go further and verify the effectiveness of that solution? Or are they satisfied with stopping at an earlier phase, simply showcasing the research and analysis results? Not having a firm grasp of these expectations from the early stages can spell trouble.

この 6 点全てを、やはりチームでコミュニケーション取ってマネジメントしていくことが重要です。対内コミュニケーションと対外コミュニケーション、両方あると思いますが、それがうまくいってないと、ここのフェーズは失敗するだろうと思います。

Overall, as I mentioned earlier, effective communication and management within the team, as well as with external stakeholders, are crucial for handling these six types of risk. Without smooth internal and external communication, we risk faltering at this phase.

ソリューションの提案に失敗する / The Pitfalls of Proposing Solutions

問題解決編の後半ですけど、ソリューションの提供をする時にボトルネックになるようなリスクが何なのかを書いていきます。三つあります。

In the latter half of our problem-solving journey, we confront the risks inherent in providing solutions. There are three primary bottlenecks.

一番簡単にわかるのはやはりデータの分析力の不足です。つまり、現状分析が不十分で深い洞察のあるソリューションが導出できないことは考えられます。これにはいくつか要因があると思っています。

The most apparent is the inadequate ability to analyze data. Flawed analysis might lead to solutions lacking depth and insight. Several factors contribute to this potential shortfall.

まず一つはスキル面の不足。すなわち、適切なデータを見つけてくるとか、あるいはその見つけてきたデータをきちんとクリーニングするとか、そこに対して適切な分析を加えるっていうスキルが、我々チームメンバーに不足している可能性があります。

Firstly, there's the possibility of skill deficiency. This could manifest as an inability to find appropriate data, properly handle the gathered data, or conduct relevant analyses. These skills might be lacking among our team members (hopefully not, of course).

それからリソースが不足するパターン。時間がなくなったりとか、あるいはチームメンバーがあまりレスポンシブじゃなくて、他の授業にかまけていてリソースが不足してしまうというパターンですね。

Then, there's the possibility of resource shortage. This could be due to dwindling time or team members being non-responsive, possibly preoccupied with other commitments, leading to an overall scarcity of necessary resources.

結局、アウトプットの質は、このスキルとリソースの掛け算で決まるわけですね。高いスキルを伴った分析に多くのリソースで捌いていけば、いいアウトプットというのは基本的にはできるということです。けれども、このどちらかあるいは両方が不足してしまうというパターンが考えられます。

At the end of the day, the quality of the output is determined by the multiplication of skills and resources. Adequate skills, coupled with sufficient resources, typically result in quality outputs. However, a deficiency in either or both could spell trouble.

ここでもう一つ付け加えておきたいのはチームマネジメント。チーム内でのコミュニケーションが不足するということですね。どんなに良い分析をしようと思っても、あるいは分析ができると思っても、それをチームメンバーに対して積極的に「この分析が有用である」と、あるいは「あなたがやろうとしている分析は有用ではない」とアサーティブに指摘をしたりして、チームの中でコミュニケーションをうまくとって、どんな分析が最も最適であるかということを考えられなければ、十分な分析をし深い洞察を導くというところは失敗します。

Another aspect worth emphasizing is team management. Inadequate communication within the team can be detrimental. No matter how effective the analysis might seem or the potential for it to be conducted, it's crucial to assertively communicate within the team, indicating the usefulness/uselessness of specific analyses. Without such internal coordination and decision-making, even the most thorough analysis could fail to yield the deep insights necessary for success.

2 点目はクライアントとの調整不足ですね。対外コミュニケーションの方ですが、例えばソリューションの大まかな方向性に、クライアントの納得感とか満足感みたいなものがないとこれは厳しいです。ですので、おそらくここで重要なことは、そもそも大まかなソリューションの方向性っていうものを早くに取りまとめ、詳細な分析に入る前にそれをクライアントに一度示し、その方向性に納得感や満足感があるかどうかっていうのを確認することですよね。

The second significant challenge revolves around insufficient coordination with the client. This is a matter of external communication, where gaining the client's satisfaction and approval on the general direction of the solution becomes critical. It's vital to consolidate a rough direction for the solution early on and present it to the client before delving into a detailed analysis. This step helps confirm whether the client feels satisfied and agrees with the proposed direction.

のちほど解決編のところでも書きたいんですけど、ここでのリスクヘッジとして、仮にソリューションの方向性に満足感、納得感が得られなかった場合にも、プロジェクトを少し巻き戻せるような状況にチームをマネジメントしておくということが重要かなと思います。

A key strategy in managing this risk, which I'll explore more in the following solution section, is ensuring that our team is prepared to roll back the project slightly if necessary. If the initial direction of the solution fails to resonate with the client, having the flexibility to reassess and adjust our approach is crucial. Effective client engagement and the ability to pivot based on their feedback are essential for the successful culmination of any project.

3点目、最後にこれも重要だと思うんですが、最終的なソリューション、あるいはアウトプット、あるいは提案に至るストーリーの全てに対して、全てのチームメンバーが納得している事が重要です。自分としては、どんなにそのソリューションの価値が高くても、メンバーが全員が納得していないという状態で、最終プレゼンに漕ぎつけたとしても、あまり意味がないと思うんです。

Team Consensus on the Final Solution: The last, yet equally crucial aspect, is ensuring that every team member is on board with the final solution, output, or proposal. From my perspective, the value of a solution is significantly diminished if it doesn't have the unanimous support of the entire team. Even if we reached the final presentation, it would lack meaning if not all team members agreed.

それよりかは、ある程度アウトプットの精度を犠牲にしてでも、チームメンバー全員が納得しているアウトプットを出すという方を私は優先したいと思っています。ここに失敗すると、つまり、全員が納得して進めるっていう方向性で全員が一致していないと、かなり独りよがりなアウトプットになり、仮にソリューションの質が高くてもチームプロジェクトとして満足感がいくものにはならないんじゃないかなという風に思ってます。

I believe it's preferable to compromise a bit on the precision of the output if it leads to achieving the entire team's consensus. Failing to secure this agreement could lead to a situation where the output, while high in quality, is perceived as unilateral, not truly reflective of a collaborative team effort. This misalignment could potentially detract from the overall satisfaction and effectiveness of the team project. Prioritizing a collective understanding and agreement within the team is fundamental for the success of any collaborative endeavor.

日記474

・前回のポストの続きですけど、自分がどんな分野や事項に関心のある人間なのかということを改めて考えています。いつまでこんなことを考えているのかと言われるかもしれませんが、いつまでも考えています。

・今まで興味があったこと、純粋にわくわくすることが何だったのか、何に対して比較的強く興味を抱いてきたのかを抽象度を上げて考えようということです。それで、一言で言うと、それは公共的な空間、Public Sphere だと思うんです

・人が3人集まるとそこには公共空間ができるわけですが、これをいかに良くデザインするかとか、それをいかに良くメンテナンスするかっていうことに関して興味を抱いてきました。具体的には、まずはPublic Sphereの例として、物理的な土地空間を挙げます。

・例えば動物園であったり、テーマパークであったり、そういうものに興味を持ってきたというのは以前から書いている通り。地方創生とか、まあそういうものにも結構興味を持ってきました。

・ほかには金融市場も公共空間の一つですよね。いろんな人が集まって取引をするみたいな、そういう場所ってある種の公共空間なので

・あとはすごく卑近な話で、例えば銭湯が好きなんですよね。あれって何が好きかって言うと、やっぱりPublic Sphere なんですよ。公共空間で、こう人がマナー良くしてるみたいなのが結構好きなんです。それは別にマナーが守られてるのが好きってことじゃなくて、公共的な空間において人々が互いに、いかに心地よく過ごすかに関して心を砕いてる、そういうのを見るのが好きなんですよね。

・とにかく、そういう公共的な空間に結構強い興味を持ってきました。そういう意味では企業のガバナンスとか組織のガバナンスっていうものにも結構興味があって、それはこの間も書いた通り、自分が今まで生きてきた中で、組織のガバナンスっていうものが公然と踏みにじられるような社会的事例っていうものを見て育っていて、そこに対して根強い不信感みたいなものを抱いてきたってことです

・で、その上で公共空間に関してどういうアプローチで興味があるかってことなんですけれども、言ってしまうと、公共的な空間をよりオープンにすること、あるいはトランスペアレントにすること、あるいはプレーンにすること、そういうことにすごく興味を持ってきました

・公共空間のデザインというと、例えばマッチングとかゲームセオリーに興味があるのかって思われることもあると思うんです。公共空間のメカニズムに興味があって、それをデザインすることに興味があるって言うと、じゃあ何かルールの解明とかルール作りに興味があるのかって言われるかもしれないけど、そこは必ずしもそうじゃないです

・公共空間におけるメカニズム、これを知ることは一定大事だと思うんだけれども、そこにどんなゲームのルールが働いてるか、あるいは働いていくべきかという、その詳細をディサイファーしていくこと、解明していくみたいな営みにはあんまり興味がないんです

・ある公共空間の中で、あるメカニズムがどうやら働いているようだということをざっくりと知ることは大事だと考えていて、その原理原則みたいなものを使って公共空間そのものをメンテナンス/改善していく、みたいなことには興味はあるけれども、あまり突き詰めて細かいゲームルールを変えていくとか、ルールの文言をこういう風に変えようみたいな、そういうことにはあんまり興味がないんです

・もちろん、いまあるルールをよりプレーンにしましょうとか、よりトランスペアレントがしましょうみたいなことには興味があるんだけれども、あまりにも複雑なメカニズムについて、一つ一つ丁寧に骨組みを浮き上がらせていくみたいなことには、実はあんまり興味がないと思います。

・公共空間については、呼び方はいろいろあって、例えばインフラっていうのか土俵っていうのかあるいはフィールド、バトルフィールドっていうのか、それはよく分かりませんが、とにかく公共空間のそのデザインとかメカニズムに興味があります

・結局、公共空間のデザインとかそのメンテナンスに関して、何が好きなんだと問われると、まずはそのフィールドというか場を設けるとか、ゼロから作ると、そういうことに興味があります

・ただし、その公共的なフィールドとか土俵とかそういうものを作ったからといって、そこを自分で埋めていくとか、自分がプレイヤーになるって事は、やっぱりあんまり興味がなくて、ただその場を作ることによって、その中で人々のコミュニケーションであるとか、化学反応、つまり本来であれば出会わなかったものが、その公共的な空間を介して出会うっていうことにすごく興味があるんだと思います。

・公共的な場を作り、そのフィールドの中で本来出会うことのなかったはずの人々が出会ってコミュニケーションを取って化学反応を起こしていき、それがやがてポジティブなエネルギーとかパワーになっていくっていうことにはすごく興味があります。ある種、そういうビオトープみたいなものを物理的に作りたいんです

・なんかこうやって言語化してみると、結構「当たり判定狭いな」と思いますね。公共的な空間のデザインとかメンテナンスに興味はあるものの、そのルールを細分化していくこととか、ルールを改良していくことに興味があるわけではない、と。で、今ある既存の公共空間のそのメカニズムというものについて、なんか突き詰めて、それを詳細に分析していき、より良いメカニズムを発見する、みたいなことに興味があるわけでもない、と。

・ただし、恐らくなんだけれども、今はなんとなくクローズになっている、あるいは opaque になっている、complicated になっている、そういう公共空間をオープンにトランスペアレントにプレーンにしていくことを通じて、今まで起こり得なかった人と人とのコミュニケーションとか、人と動物でもいいんだけれども、そういうコミュニケーションの温床を育てていくみたいなことが好きです。その結果について、まるで想像が及ばないような化学反応が起こる場を提供することに興味があるんだと思います

・テーマパークとかを作ることに興味があるのも、多分、そういう場を提供することによって、人々が今まで経験し得なかった経験ができるようになるっていうのがあると思います。ディズニーランドという場を提供することによって、人々の心の中に感動を与えるとか、USJ だったら何でしたっけ、驚きを与えるみたいな、なんかそういうのあったと思うんですけど、そういう心理的作用とか、そういうものを芽生えさせることは結構興味があります

・それで別に、心理的作用を芽生させて終わりじゃなくて、それが何か人々をエンパワーしていくとか、何か新しい事業がエンパワーされるだとか、新しいビジネスが生まれていくみたいなことには興味があるんですね

・ビジネスに関して言うと、ビジネスチャンスを利用して、自分を含めた誰かが力をつけていくこととかにはあんまり興味がなく、むしろそのビジネスチャンスの種みたいなものを作り出すことには興味があるんだと思います。

・せっかくなので種のメタファーを使い続けてみると、なんかこう、古くなっちゃった木を伐採する、それによって、光が地面に当たるみたいな、そういうことにはすごく興味があると思います。腐りかけているものをまずはプレーンにすることで、その土地をオープンにし、トランスペアレントにして、種をまく人々が入ってきたりとか、自分で何か種をまいたりして、その芽が出るかどうかを見守るみたいなことにはかなり興味があると思うんです

・それを今の会社でやろうと思ったらどうしたらいいんでしょうね。一つすごく簡単に思いつくのは、やっぱり日本の金融機関を含む、企業の再生ですよね。統廃合を伴う再生に関しては多分すごく興味があって、今後日本の企業や金融機関のハンドリング、中央銀行とか規制当局によるハンドリングがそういう方向に向かっていくのであれば、それはやってみたいなと思います

・別に今の日本の企業や金融機関が腐りかけていると言ってるわけではないですが、ただゾンビ的なものの数が多いのは事実で、一部の議論として、そういうものを統廃合するべきだという話が出てくることは承知しており、そういう腐りかけたものをぶっ倒す時ってやっぱり大変だと思うんですよ

・今立っている木のうち、まずどれが腐りかけてるのかを見極めて、それを後腐れなく、「これはもう倒れてもしょうがないよね」っていう方向でぶっ倒していくと。もちろんそれだけじゃダメで、それによって新しいフィールドに日が当たるようにしていくっていうこともやる必要があって、その経験を通じて普遍的な教訓を得られると思います

・一方で、「どうにかして腐りかけてる木を延命します」みたいな営みには全く興味がないですね

・もう1つの分野は、デジタル通貨を含む決済システムですかね?ただこれはもう、結構もう芽が出てきちゃったと思います。これは新しい公共空間、フィールドだと思うので、これがどう育っていくかっていうことを見守ることには割と興味があるかもしれません

・これは既存の、現金という、かなりスライブしている木に対して、おそらく当面は相互補完的な役割を担っていくので、そういう意味ではまだ何かをぶっ倒すようなフェーズじゃないんですね

・例えば現金というものが明らかに腐り始めていて、これをぶっ倒さなきゃいけないけど、なんか勇気がなくて手がつけられないみたいな時に自分みたいな人間が切り込んでいってこれを効率よくぶっ倒すっていうようなことには結構興味があるんだけれども、今のまま行くと多分、すくすくとデジタル通貨という木が育っていき、現金の機能を多少は奪うが、ただどっちも太い幹を持った木になっていくみたいな、そういう未来を直観してます。そうなるとあんまり興味がない

・そういう意味では、ぼくの興味のある範囲って結構ざっくりしていて、かつ応用可能性があるっていう、そういう興味の範囲の持ち方をしているんだと思います。特定の分野のここに興味があるとか、技術的にこういうことに興味があるってことはあんまりなくて、営みとして公共空間をよりオープンにトランスペアレントにプレーンにしていき、それによってその場で生まれる人々のパワー/エネルギーみたいなもの、あるいは生きる力みたいなものをエンパワーしていくっていうことに興味があるので、それって別に分野としては何でもいいじゃないですか

・なんでかって言うと冒頭書いた通り、人が3人集まるとそこに公共空間ができるからですよ。組織のガバナンスみたいなものにも興味があるわけなので、そういう意味では、どこでもいい。人が集まってるところであれば、どこでもできるわけですよね。

・だから今後勤める部署とか転職とかに関しても、そういう仕事ができるかどうかを軸にしていくのがいいんじゃないかなと。今の会社で、ないしは自分が転職可能な企業の中で、そういう仕事ができる場所をうまいこと見つけ出していくっていうことだと思います

・まずは、結構難しいかもしれないけど、そういう仕事の仕方で、今いる会社で実績を出すことに注力しなきゃいけないと思います。それは組織ガバナンスの面で注力をするということなのかもしれない、つまり、チームビルディングみたいなところで注力をするのかもしれません。これは実績としてはかなり分かりにくくなっちゃうと思うんだけど、「こういう経験をしました」とはっきり説明できるようしておく必要はあります

・組織のガバナンス、チームビルディングの面でそういうことをやっていくのか、あるいは会社での事業上の成果としてそういうことを残していくのかっていうのは結構考えた方がいい。

・問題は、まず前者の方は割とふわっとした話なんですよね。もちろんいろんな努力をして言語化することは必要だが、例えば転職を考えた時に、その転職先の企業に、「自分はこういう効果をもたらせる人間です」っていうことを証明しなきゃいけないので、結構難しいと思うんですよね

・後者について問題なのは、今いる会社でビジネスとしてこういう仕事ができるかっていうのを考えた時に、なんかパッとは思いつかない。事業として、何か腐りかけているものをぶっ壊してよりよい公共空間を作るっていう、その成果の出し方って、あんまりパッと思いつかないんですよね

・かつ、それは思いついたところで、それを転職先の企業で応用可能であるっていうことを証明するのも結構難しいと思います。ただまあ、やんなきゃいけないだろうなとは思います

・多分、大切なことの一つは、この感覚を持ち続けることだろうなと思います。自分の中では、今この、「公共空間をビルドする」というキーワードが割とすんなり腹落ちしているので、今後何か、理由をつけてここから離れていこうとすると、自分の中で不協和音が生じるんじゃないかなと思いますね。その不協和音をやっぱり見逃してはいけなくて、そのためには常にこのキーワードに立ち返ってくるってことをやった方がいいと思いますね

・仮に例えば、自分が将来的に仕事をしていく中で、自分が設定したこのキーワードになんとなく合致してないような仕事をしてるなという感じた時にきちんと後戻りできるよう、このキーワードを忘れないように仕事をしましょう。この辺は、東浩紀の「訂正する力」と通じるものがあるかもしれません

・逆に言うと、このキーワード抜きに、なんとなく、自分が今やってる仕事がなんだか合わないなぁと思って転職しようとしても、あんまり意味がないというか、それこそジョブホッピング的になってしまい、今まで自分がやってきたことややれてきたことだけを念頭に、近しい業界にとりあえず転職します、みたいな、そういうことだけは避けた方がいいなと思います。

日記473

・ もうちょうど 4 ヶ月ぐらいになるんですかね、パリに来て。それで、日本にいた頃に抱えていた行き詰まり感みたいなものは、ほぐれてきたなって思うようなところがあります。別に、スキルとか知識として何かをすごく得たとか、そういうことではないと思うんですけど。

・ というよりかはやっぱり、海外に出てみて、例えば英語で授業を受けるとか友達とコミュニケーションするっていう経験を通じて、自己肯定感じゃないんですけど、自分でもこう何となくやれるのかなみたいな、そういう気持ちの面で広がりが出てきたなっていうことが一つあります。

・あとはこの間、やっぱり時間があったってことだと思うんです。普通に仕事をしてる時よりかは時間に余裕があって、それは別に休暇がすごい多いということではなくて、小さい積み重ねの時間です。1日の中で、可処分時間みたいなものが 2 時間とか 3 時間とか出てきたっていうことなんです。

・ 例えば夜、ちょっと夜更かしをして、それで翌日起きるのが数十分遅くなったとしても、別に授業には間に合います、みたいな。まあそういう心の余裕があって、その中で
すげーYouTube の動画見る機会が増えたんですよ。

・ で、YouTube の動画見てどうするんだって思うかもしれないけど、まず、ニュースの動画をすごくよく見るようになったんです。まあ、それはヨーロッパのニュースもそうだけど、でも、日本のニュースについて知る機会がすごく多くなったということが一つあります。今、ニュースという意味では、日本の政局に関しては転換点に来てるんじゃないか、っていうのが一つ仮説としてあるんですよ

・ それはこの自民党、政府与党の信頼を揺るがすような裏金疑惑が出てきているっていうだけではなくて、これが大きなうねりになってるっていうことがポイントです。資金管理だけの話ではなくて、政府与党に対する不信感っていうものが如実に出てきてるんだなって思うんです

・ それは岸田内閣の支持率がものすごく低いっていうところから見てわかると思うんですけど、これは単純に内閣の支持率が低いっていうよりかは、岸田内閣がやってる政策自体はすごくいいものが多いのに、これだけ支持率が低いっていうところの裏というか奥行きを見てみると、やっぱり社会的に大きなうねりとして、政府与党に対する不信感みたいなものが出てきてることの表れなんだろうなと思うんです

・ で、ここ半年とか 1 年ぐらいの話をすると、YouTube の動画に政治家の露出がかなり増えたっていうことが言えると思うんです。今回官房長官になった林芳正さんだって、1 年足らず前だと思うけど、リハックに出ていたりとか。自民党なら小林史明議員がかなりいろんな番組に出てますし、立憲民主党なら泉代表から逢坂議員、小西議員、(ハッピー)米山議員まで見かけますし、国民民主の玉木代表も自身のチャンネルやってますよね。N国党の立花代表は当然として。維新なら藤田さん

YouTube の中でニュースメディアというか、なんて言うんだろうな、政治のリアルなところを政治家本人を招いて伝えるっていう、そういうチャンネルがかなりこう、ムーブメントとして増えてきた気がするんです。これってもちろん、政治家にもメリットありますからね

・ それもあって、かなりきちんと政治のニュースっていうのを、なぜか追うようになってるっていうのが自分の変化っちゃ変化なんです。で、それと同時にもう少しだけYouTube の話をすると、政治だけでなくビジネスのこともかなりよく見るようになりました。特に日本企業のビジネスに関してはかなりよく見るようになっています

・ 例えばトヨタがこの先どういう戦略を描いていくのかとか、日本のテレビ局というのはどういう変遷を歩んできたのかとか、リクルートという会社はそもそも何をしているのかとか、とにかく動画を見るようになってます。これは可処分時間が増えたことによって可能になったことです

・やっぱり、自分がこの先どう働いていくのかっていうことに対して、自分なりに真剣に向き合おうとしてるんだと思うんです。それで、ビジネスパーソン向けの番組をかなりよく見るようになって、転職についても考える中で、自分のパースペクティブというか、そういうものが広がってる実感を持っています

・ 政治もビジネスも、これまで全然興味を持ってこなかったんですよ。理由を考えてみると、ここに共通するのは「不信感」です。

・ 日本の企業に対する不信感ってのはものすごく強く自分の中にあって、それが20 代の間、ずっと残り続けていたんだろうなと思うんです。まずは日本の企業って、変革がすごく遅くて、世界の経済から取り残されてきたっていう実態があると思います。実際、「世界の時価総額ランキング」みたいなのもよく見ますけど、日本の中では1位のトヨタも世界では十何位に転落してるとか、そういうデータを見るたびに日本企業のことを「フォローしててもしょうがないな」みたいな、そういう実感がなんとなくあったと思います。別に海外の企業のことも詳しいわけではないけど

・ で、本来であればこれまで会社に勤める中で、もっと日本の実体経済とか企業には興味があってしかるべきだったんですけど、なんでかそういう風には興味が向いていかなかったんです

・これについては、自分の人生についてあんまり真面目に考えてなかったからっていうのはあると思いますね。自分の働き方一つとっても、今の会社で一生生きていくんだったら、必ずしも自分の興味の幅って広げる必要がなくて、それよりかはこの会社の中でどういう知見を蓄えていくかみたいな、そういうことを重視してきたのかもしれない

・ それは今勤めている会社に対する信頼っていうのがかなり厚くあったことの裏返しだと思うんです。この会社で働いていれば、すごく重要な知見を得られるとか、そういうつもりでいたと思う。で、実際にここで働いてないと得られない知見とかスキルっていうのはかなり多くあると思うし、かつ、それが社会的にも有益というか、労働市場に自分が足を踏み出してみても価値のある情報や知識を得られるっていう側面はあります

・ ただ一方で、やっぱり自分が会社に甘えていたという側面もあると思っていて、つまり、会社に属して仕事をしていれば、それだけで何か自分の中で自分のこうキャリア形成に役立つような知識とか情報とかが入ってくるのではないだろうかって、そういう甘えがあったと思います。

・ 正直、この 6 年とか 7 年働いてみて分かったことは、どんなにすばらしい会社でも、当然ながらその組織に所属しているだけでは、本当に重要な、働いていて良かったなと思えるような大事なこと、それは知識なのかスキルなのか情報なのかわからないけど、そういうものが身についていくわけではないっていうことです。繰り返しですが、今の会社に対する信頼ってまだ自分の中にあって、特にコンプライアンスとかガバナンスの意味ではかなり信頼しています

・ でもやっぱり、どこの会社にいてもそうだと思いますけど、会社にいるだけで何か重要な知見とかスキルとか知識とか、そういうものが身についていくと思ったら大間違いだなっていうことに 6 年 7 年働いてみて、うすうす気がついたっていうことに、パリに来て気がついたんですね

・ それで自分なりに今、情報収集というか、いろいろそういうものを改めてしてるっていう、そういうフェーズだと思います

・ じゃあそれがじゃあパリ政治学院/フランスに来てみたこと、日本を出てみたこととどう関係しているかというと、それは一つはやっぱり自分の国のことをちゃんと説明しなきゃいけないんだなっていうことですよね。まあどうせ、そんなにうまく英語でしゃべれないわけだから、だったら自分の国のことだけでもちゃんと話せるようになっておきたいなと。

・ ぼく自身がEU議会とかアメリカとかインドのことをうまく説明できないのは、まあしょうがない。それは英語の能力もあまりないからしょうがないと言い訳がつくんだけど、せめて日本のことだけはちゃんと説明できた方がいいよね。っていうのがちゃんと自分の中に芽生えてきたんだと思うんです

・ 今後、いろんなインターナショナルな議論をしていくときに、それが一つの参照軸になると思うんです。日本についてきちんと語れるようになること、例えば日本の政治の制度であるとか、日本のビジネスの仕組みであるとかをちゃんと知ることが、日本以外のことを知る際の重要なレファレンスになるんです

・ ヨーロッパの政治のことも、基本概念や大まかな歴史なんかについては割と授業で勉強したんだけど、そこから一歩踏み込んで、もう少し個別具体的な話ってなると、まだ全然できないんです。で、それは多分日本の政治制度のことをよく理解してないからなんじゃないかなと思うんですね

・ 例えば、選挙制度のことも、ちょっと今からちゃんと調べなきゃいけないんだけど、小選挙区制が今の政府与党にどう有利に働いているのかとか、かつてあった中選挙区制はどうしてなくなったのかとか、比例代表の仕組みとかをちゃんと日本語で理解してないと、海外の政治に関する議論も自分の中ではぐらついてしまって、ここからもう一歩一段深めていくことってできないんですね

・ ちょっと脇道にそれますけど、この概念理解というものをを英語とかフランス語でしなくていいのかっていう議論はあり得ると思うんです。ここに関しては正直できたらかっこいいし、いいなと思うんだけど、もう使えるものを使うしかないかなっていう感覚も正直あって、あんまり悠長なこと言ってられないので、まずは日本語で概念理解をして、それを英語に落とし込んでいくっていう作業をやるのが一番早いんじゃないかなと思いますね

・ なので一旦、新しい概念を英語で理解しようっていうのはちょっと今は諦めつつありますね。それがいいか悪いか、よくわからない。でもしょうがない。もうやるしかないから、早いなら日本語でやった方がいいのかもしれない

・ ということで、やんなきゃいけないこと、つまり概念理解しなきゃいけない分野が頭の中で山積みになってきてます。ざっくり言って政治とビジネス、これを両方、もう 1 回やらなきゃいけないなと思ってます。

・ 政治の方は先ほど書いた、選挙の制度のところをもう少し理解しなきゃいけないのと、あとは政治の現代史みたいなところをやっていかなきゃいけない。大きく言うと、小泉改革の辺りからさかのぼって振り返りたい

・ これちょっと書いておこうと思ったんですけど、自分が今まで生きてきた30 年間が一体どういう時代だったのかっていうのを、もう 1 回、政治とビジネスの観点から捉え直す必要があると思うんです。1987 年か 8 年か忘れたけど、リクルート事件というものがあり、そこから改正政治資金規正法ってものができてきて、一応クリーンな政治みたいなものをやろうとした時代があったっていうところの話とか、あとは 2009 年に民主党に政権が交代した時の話とか、そういうものをもう 1 回さらっていかないといけない気がするんですね。

・自分が生きてきた時代っていうのは、まさに日本が停滞/低迷し続けてきた時間であって、その時代を自分は生き続けてきているわけで、そこから目を離しちゃいけないと思うんですね。で、それはもちろん、政治がどうだったかっていうこともあるし、あとはビジネスですよね。企業活動がどうだったかっていうのがあって

・ 上に書いたことをもう一度繰り返しますけど、自分自身、日本の政治とか日本のビジネスみたいなものに対して強い不信感を抱き続けてきました。それ自体が政治やビジネスに関する無知を形成してきたなっていう、そういう直感があるんです。

・ 思い返してみれば、この 30 年間、日本企業というのは、内部留保っていう形ですごく利益を積み上げていたのかもしれないが、一方で国際的な競争力は落ちてきたし、GAFA みたいなもの、つまり世界中の人から利用されるような大きなプラットフォームを作るということには失敗し続けてきました、と

・ それはもちろん、企業の競争力だけじゃなくて、政治や法的なルールとか、まあそういうものももちろん関連してると思うんだけど、とにかくそういう、これまでになかった価値を創造するような営みに、日本という国として失敗し続けてきたっていう実績がまずあります

・ もう一つ大きいのは、やっぱり企業の(業績低迷とも関係して)不誠実な行為が明るみに出てきた時代だったとも思います。例えば産地の偽装であるとか、賞味期限偽装とか、細かいかもしれないけどそういうものって、ぼくが小さい頃に集中して出てきたと思うんです。そういうものが出てくると、大企業だからとか何だとかっていう理由で企業のことを信じちゃいけないっていう、そういう直感みたいなものが培われてしまったんだと思います

・少し見方を変えれば、ホリエモンのフジテレビの買収とかがうまくいかなかったこととか、Winny金子勇さんが捕まっちゃったっていうこととかももう 1 回ちゃんと考え直さなきゃいけなくて、そういう社会の成長の原動力となるようなものの芽を摘んできたっていうのが実態としてはあるんだと思います

・それが良い悪いっていうことではなくて、そういう事態を通じて、日本の社会であるとか経済とか政治っていうものを信じなくなり、それが自分自身の無知に直結しているんだろうなと思います。なのでもう少し、自分が生きながらにして見過ごしてきたこの時代の経済/政治について深く知りましょう、というのが最近の目標です。

・ もしかしたら、自分がこうして持っている不信感の根源みたいなものに関して、そういうものをこの先この社会に残していっちゃいけないのかもしれないとも思います。そういうものを排除/削減するみたいな方法があるならそれを知りたいのかもしれないですね。

・最後に、やっぱり、自分が仕事とかビジネスとかをしていく上で、日本社会っていうものをある種、俯瞰して捉える力、少し抽象的に捉える力っていうのが、もしかしたら大事な要素になっていくのかもしれないと思っている、ような気がします

日記472

・さて、理由はよく分かりませんが、「信頼」について最近よく調べています。

・いや、理由はあるんですよ。例えば最近、日本政府がスタートアップ五か年計画というのを出していて、その内容を調べてるんですけど、けっこう盛りだくさんで大事な計画なんですよ。でも、国民の多くはこんな計画のことなんか気にも留めず、岸田政権の支持率は下がり続けている。これって、政策の内容うんぬんより、日本においてそもそも政府や公的機関、企業に対する信頼が低いからじゃないかと考えたんです。いきなりわき道にそれますが、以下のような形で、企業の不祥事についての論文もざっと調べました。

cir.nii.ac.jp

・それで、信頼について、今まで調べて分かったことを書きます。問題意識が、政府や公的機関への信頼について調べるところから始まっているので、政治学的なアプローチが初めに来ます。

・はじめは、シカゴ大学名誉教授の政治学者、David Eastonからです。彼は信頼について、specific support と diffuse supportという、二つの信頼の仕方の峻別を提案しました。その内容についてはここでは詳しくは触れません。

・それから、あまり詳しく調べてませんが、Mark Warren という政治学者が、信頼について以下のように書いています。

 “trust involves a judgment […] to accept vulnerability to the potential will of others by granting them discretionary power over some good. When one trusts, one accepts some amount of risk for potential harm in exchange for the benefits for cooperation”(1999)

・そもそも、信頼というのは、学際的な研究のテーマになりえます。例えばこんなリサーチ論文があります。

https://www.j.u-tokyo.ac.jp/coelaw/COESOFTLAW-2004-8.pdf

・公的機関への信頼についてのサーベイがないかどうかを調べています。ヨーロッパだと、Eurobarometer や European Values Survey などがあるのですが、日本での代表的なデータは以下になるようです。

ssjda.iss.u-tokyo.ac.jp

・このデータを使うと、例えばこんな調査ができます。P22を見てください。

https://institute.dentsu.com/wp-content/uploads/2021/06/%E3%80%8C%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%BE%A1%E5%80%A4%E8%A6%B3%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%80%8D1990%E3%80%9C2020%E5%B9%B4%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%99%82%E7%B3%BB%E5%88%97%E5%88%86%E6%9E%90%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88.pdf

・ただ、このデータ、ヨーロッパと違って、申請しないと中身見れないんですよ。ミクロデータみたいなんでしょうがないんですけど。

・それで、このデータ申請に対して利用可否を審査している審査員(池田謙一氏)について少し調べました。

www.ikeken-lab.jp

thinktank.php.co.jp

・今のところ、最も興味深いのは以下の論文です。

「行政に対する信頼の構造」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nenpouseijigaku/61/1/61_1_11/_pdf

・そのほか、学者としては、デュルケームと、パットナムに興味を持っています。デュルケームの入門書は、以下を買おうと思っています。パットナムは、社会共通資本のアイディアに興味があります。

www.gakubunsha.com

・それで、個人的なリサーチのテーマは、中央銀行に対する信頼です。この問題は、たぶん今後の中銀をめぐる話題に、トピカルではなく常に深く絡んでくると思います。CBDCなんか言うまでもなく、貨幣というものがそもそも信頼に裏打ちされて通用しているものですし、デジタルバンクランの時代に信頼は大きなキーワードたり得ます。

日記471

パリ政治学院で学期が始まってから45日目、秋学期全体の34.1%が過ぎ、プログラム全体の14.3%が過ぎました。秋学期は全体で132日、プログラム全体で314日という前提の下での計算です

・授業、生活、そのほかで何を学んだか、このあたりで棚卸しておくのもいいでしょう

・ちなみにweek5の振り返りは以下のような感じ。week4よりも改善している個所もありますが、総じてみればあまり変わりないです。ただし、むしろ毎日決まった時間に起きて決まった時間に寝られていることを、あらゆる意味で評価すべきでしょう

Week5 Review     9月30日(土) 10月1日(日) 10月2日(月) 10月3日(火) 10月4日(水) 10月5日(木) 9月29日(金)
5:30 ~ 6:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
6:00 ~ 6:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
6:30 ~ 7:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
7:00 ~ 7:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
7:30 ~ 8:00 朝食 就寝 朝食 朝食 朝食 自由 朝食
8:00 ~ 8:30 自由 自由 入浴等 入浴等 入浴等 自由 入浴等
8:30 ~ 9:00 自由 自由 移動 移動 移動 自由 移動
9:00 ~ 9:30 自由 家事 勉強 勉強 勉強 自由 自由
9:30 ~ 10:00 自由 自由 勉強 勉強 勉強 朝食 自由
10:00 ~ 10:30 移動 自由 Francais B1 Applied Data Analysis for Public Policy Applied Data Analysis for Public Policy 自由 Francais B1
10:30 ~ 11:00 朝食 移動 Francais B1 Applied Data Analysis for Public Policy Applied Data Analysis for Public Policy 自由 Francais B1
11:00 ~ 11:30 自由 合気道 Francais B1 Applied Data Analysis for Public Policy Applied Data Analysis for Public Policy 自由 Francais B1
11:30 ~ 12:00 自由 合気道 Francais B1 Applied Data Analysis for Public Policy Applied Data Analysis for Public Policy 移動 Francais B1
12:00 ~ 12:30 自由 合気道 昼食 昼食 昼食 昼食 昼食
12:30 ~ 13:00 自由 合気道 Macro Economics of Public Policy European political behaviours 昼食 見直し GDPP: Psychology
13:00 ~ 13:30 昼食 移動 Macro Economics of Public Policy European political behaviours 電話 見直し GDPP: Psychology
13:30 ~ 14:00 昼食 昼食 Macro Economics of Public Policy European political behaviours 勉強 自由 GDPP: Psychology
14:00 ~ 14:30 散歩 電話 Macro Economics of Public Policy European political behaviours 散歩 自由 GDPP: Psychology
14:30 ~ 15:00 散歩 電話 勉強 昼食 Building One's Leadership 自由 自由
15:00 ~ 15:30 移動 昼寝 勉強 自由 Building One's Leadership 自由 自由
15:30 ~ 16:00 勉強 昼寝 勉強 勉強 Building One's Leadership 自由 移動
16:00 ~ 16:30 勉強 自由 勉強 勉強 Building One's Leadership 自由 イベント参加
16:30 ~ 17:00 勉強 自由 勉強 勉強 自由 自由 イベント参加
17:00 ~ 17:30 勉強 自由 勉強 勉強 自由 自由 イベント参加
17:30 ~ 18:00 勉強 自由 勉強 勉強 自由 自由 イベント参加
18:00 ~ 18:30 勉強 自由 勉強 勉強 移動 自由 イベント参加
18:30 ~ 19:00 勉強 夕食 勉強 移動 移動 自由 移動
19:00 ~ 19:30 勉強 夕食 移動 買い出し 会食 移動 移動
19:30 ~ 20:00 夕食 家事 夕食 料理 会食 夕食 会食
20:00 ~ 20:30 夕食 家事 移動 夕食 会食 夕食 会食
20:30 ~ 21:00 自由 自由 自由 自由 会食 自由 会食
21:00 ~ 21:30 入浴等 自由 入浴等 入浴等 移動 入浴等 会食
21:30 ~ 22:00 入浴等 入浴等 入浴等 入浴等 入浴等 入浴等 移動
22:00 ~ 22:30 自由 自由 自由 自由 入浴等 家事 入浴等
22:30 ~ 23:00 自由 自由 就寝 自由 自由 就寝 入浴等
23:00 ~ 23:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
23:30 ~ 0:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
0:00 ~ 0:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
0:30 ~ 1:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
1:00 ~ 1:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
1:30 ~ 2:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
2:00 ~ 2:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
2:30 ~ 3:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
3:00 ~ 3:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
3:30 ~ 4:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
4:00 ~ 4:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
4:30 ~ 5:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
5:00 ~ 5:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
                   
利用可能
だった時間
5.5 6.5 1 2 2 9.5 2
勉強時間   4 0 5.5 4 1.5 0 0

・さて、まずは授業で学んでいることについて。

・Macro Economics of Public Policy:以前書いたMarc-Olivier Strauss-Kahnと、エコノミストであり経済学教育にも携わっているAnthony BENHAMOUとの持ち回りの授業。マクロ経済学のおおよその議論の流れや、コロナショックの経済学的解釈などについて説明を受けます。前者は、ケインズが既存の経済学をどう変えたかに始まって、フィリップス曲線、フィッシャー方程式など、現代のマクロ経済政策の基礎付けとなる経済理論を概観していきます。

・Applied Data Analysis for Public Policy:計量統計のおさらいと、Rの実習です。講師のMichele FIORETTIはパリ政治学院助教授で、日本語で言うとなんていうんでしょうか、企業経済学とか、競争とか、そのあたりが専門です。分散の概念から相関係数の概念を説明するとか、Randomized Controlled Trialの重要性を説く際に、いちいち実データを使って実習させながら説明してくれるので、回帰分析の裏側で何が起きているのかがよく分かる

・European political behaviours:Bruno CAUTRÈSによる政治科学の授業で、今のところ一番面白いです。EU政治を支える論理を理解するうえで大切な概念をすでにいくつか学びました。David Eastonが示した ”diffuse support and specific support”のほか、Legitimacy を評価するうえで基準となる視点(手続きなのか、レジームなのか…)などを週に一本課される paper reading を通じて学んでいきます。もう少し、ヨーロッパにおけるDemocratic deficit について、現状や議論の系譜を深堀りしていきたい 

・授業はほかにもありますが、ざっとこんな感じ。

・ほかにも、いろいろと書きたいことがあるんですが、まずは政治関連にフォーカスしてみましょうか。

・やはりこれだけパリ"政治"学院で政治の授業を受けたり論文を読んだりしていると、必然的に日本の政治体制にも興味が出てきます。最近は、なぜ自民党が与党であり続けているのかという構造的な疑問から、日本人が政治について普段からあまり議論しない風潮についてまで、幅広く考えを巡らせています

・例えば前者について、これは日本にいた時に観たことのある映像ですが、BCCがごく短い解説をしています。

www.youtube.com

・ここで論じられているように、自民党支持者は非都市部に多く、そうした地域で高齢化が進んでいるため、選挙に行く高齢者層から支持を得ている自民党が勝利しやすい、という構造はあるように思います。しかし、最近の選挙において年齢層ごとに得票率をみると、むしろ若い層が自民党に投票しており、立憲民主などは若年層から全然支持を得られていないという結果が出ていたりもします

・少なくともヨーロッパにおいては、こうした有権者間の構造的な断絶(cleavage と呼ばれます)は、前世紀の後半から衰退が始まったとみる向きが多いようです。日本においては、上記のような事例を踏まえて、こうした構造的な断絶に変化がみられていると考えるべきなのか、いやそもそも若年層の投票率が低すぎて分かんないですということなのか、興味がわきます

https://web.archive.org/web/20050209015216id_/http://www.columbia.edu:80/cu/ces/conference2004/papers/J4_Thomassen.pdf

日記470

・昨日さっそく雑記を忘れているわけですが、そんなことを気にしているとこの先やっていけませんよ

・いちおう、雑記を忘れた理由は、いつもと違うメトロに乗って帰ったからですね。家の電球が切れていて、そもそもその電球をどこで買えばいいのかわからなくていろいろ調べたり、電球のタイプを店員になんて相談しようかとか考えながら移動し、無事に電球を手に入れてほっとしながらいつもと違うメトロで帰ったので雑記を忘れました

・さて。木曜は授業を入れていないので、課題をやったりする日ですが、今日は若干課題などに余裕があるので、午前中はこれまでのフランス生活を振り返ってこの先の自分の行動目標を見つける時間にしました。土曜から水曜までを振り返るという独特のスタイル

Week4 Review      

9月23日

9月24日

9月25日

9月26日

9月27日

  5:30 ~ 6:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  6:00 ~ 6:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  6:30 ~ 7:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  7:00 ~ 7:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  7:30 ~ 8:00 朝食 就寝 朝食 朝食 朝食
  8:00 ~ 8:30 自由 自由 入浴等 入浴等 入浴等
  8:30 ~ 9:00 自由 自由 移動 移動 移動
  9:00 ~ 9:30 自由 家事 勉強 雑務 自由
  9:30 ~ 10:00 自由 自由 勉強 勉強 勉強
  10:00 ~ 10:30 移動 自由 Francais B1 Applied Data Analysis for Public Policy Applied Data Analysis for Public Policy
  10:30 ~ 11:00 朝食 移動 Francais B1 Applied Data Analysis for Public Policy Applied Data Analysis for Public Policy
  11:00 ~ 11:30 勉強 合気道 Francais B1 Applied Data Analysis for Public Policy Applied Data Analysis for Public Policy
  11:30 ~ 12:00 勉強 合気道 Francais B1 Applied Data Analysis for Public Policy Applied Data Analysis for Public Policy
  12:00 ~ 12:30 勉強 合気道 昼食 昼食 昼食
  12:30 ~ 13:00 勉強 合気道 Macro Economics of Public Policy European political behaviours 昼食
  13:00 ~ 13:30 昼食 移動 Macro Economics of Public Policy European political behaviours 散歩
  13:30 ~ 14:00 昼食 昼食 Macro Economics of Public Policy European political behaviours 散歩
  14:00 ~ 14:30 散歩 電話 Macro Economics of Public Policy European political behaviours 散歩
  14:30 ~ 15:00 散歩 電話 勉強 昼食 Building One's Leadership
  15:00 ~ 15:30 移動 昼寝 勉強 自由 Building One's Leadership
  15:30 ~ 16:00 自由 昼寝 勉強 勉強 Building One's Leadership
  16:00 ~ 16:30 自由 昼寝 勉強 勉強 Building One's Leadership
  16:30 ~ 17:00 自由 昼寝 勉強 勉強 自由
  17:00 ~ 17:30 自由 昼寝 勉強 勉強 自由
  17:30 ~ 18:00 自由 昼寝 勉強 自由 勉強
  18:00 ~ 18:30 自由 昼寝 勉強 自由 勉強
  18:30 ~ 19:00 自由 自由 勉強 自由 移動
  19:00 ~ 19:30 自由 買い出し 勉強 移動 買い出し
  19:30 ~ 20:00 夕食 料理 勉強 夕食 料理
  20:00 ~ 20:30 夕食 料理 移動 夕食 夕食
  20:30 ~ 21:00 自由 夕食 夕食 自由 家事
  21:00 ~ 21:30 入浴等 自由 入浴等 入浴等 自由
  21:30 ~ 22:00 入浴等 入浴等 入浴等 入浴等 入浴等
  22:00 ~ 22:30 自由 自由 家事 自由 入浴等
  22:30 ~ 23:00 自由 自由 就寝 自由 自由
  23:00 ~ 23:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  23:30 ~ 0:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  0:00 ~ 0:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  0:30 ~ 1:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  1:00 ~ 1:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  1:30 ~ 2:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  2:00 ~ 2:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  2:30 ~ 3:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  3:00 ~ 3:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  3:30 ~ 4:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  4:00 ~ 4:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  4:30 ~ 5:00 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
  5:00 ~ 5:30 就寝 就寝 就寝 就寝 就寝
                 
利用可能
だった時間
      7.5 4 0 3.5 2.5
勉強時間       2 0 6.5 2.5 1.5

・「自由」時間を、「利用可能だった時間」として示しているわけですが、この時間が勉強時間と同じくらいになる、ないしは下回ることを、当面の目標としましょうかね

・ちなみに、◎をつけている「合気道」は、たぶん自分の心身の健康にかなり良い影響をもたらしています。勉強だけでなくこういう行動も、もっと量/バリエーションを増やしたいと思います。今のところ、バスタブにお湯を張ってお風呂に入ることと、美術館をうろうろすることですかね

・さて、ここから本題。いつものように、自分の長期的なビジョンをつらつら考えます。この問いに関しては、いつかバシッと答えが出るなどと期待せず、節目節目で少しずつ考えていくしかないのだと思います。いつまでも同じ問いをぐずぐずと考えていることは傍から見たら格好悪いかもしれませんが、それがどうしたドラえもんという感じですし、そもそもフランスに来てから、他人の目を気にしないという当地の態度が少しずつ身につき始めています

・考えたいのは、自分が本当にやりたいことは何か、今、何のためにSciences Poに来ていて、それがどう、将来の自分につながっていくのかということです

・最近思うのは、やっぱり何かの社会的課題にフォーカスして、その解決に従事することで人を幸せにしたいということです。留学後に戻る会社でそれが実現できるかどうかということも、将来的には重要な論点になりますから、そこもおいおい考えたい。

・一方で、目の前のこと、例えば修士課程卒業後はパリのオフィスで働くことになるわけですが、そこでの仕事をしっかりとこなすことも重要だと思うのですね。この間このオフィスを見学に行って、こりゃだめだと思ったことがいくつもあり、それを改善するという、超絶些細な仕事から始めたい、常に小さいところからしか物事は始まらないという直観があるわけです。変えられることを少しずつ変えるところから、自分の長期的な目標につなげていこうということですね

・んで、大きな問いの方に戻ると、自分の限りある時間をどう使って、人間や人間社会を良い方向にしていけるのかということを考えたいのです。過去のブログが語るように、自分は、本当に価値のあるもの、美しいものについて、その美しさを訴え続けていきたいのです。問題は、それが具体的に何かということです

dshio3721.hatenadiary.com

・ところが、自分はこうした問題について、いつも「それは具体的に何か?」という問いに取り組みません。これはわたしの思考の癖です。今回も、この癖に従います。具体的には考えません。ないしは、具体のピースをいくつか列挙するにとどめます

・自分の人生のゴールについて考えるとき、わたしはいつも、「良い仲間」に囲まれているところを想像します。良い仕事を成し遂げ、それによって良い仲間を得ることが、自分の人生を豊かにするという直観を持っています

・自分にとって良い仕事とは何か?フランスに来てから、「日本社会を変革することにチャレンジしたい」という思いは強まっています。別に日本という国に対して情熱的に何かを語ることはありませんが、日本で暮らす人がもっと幸福に、魅力ある人生を送ることができるようになったらいいなと思うことはあります

・「幸福に、魅力ある」というのは、今のわたしの言葉で言い換えると、「何かに積極的にチャレンジし、互いに失敗を許し合い、オープンでinclusiveな社会で生きていける」ということです。いろいろな人種/国籍の人が集まるこの場所に来てみて、めいめいが自分の考えや意見を自由に語り、否定されても一切めげず、議論を楽しみ、他者の言うことにじっくりと耳を傾けるという態度に対し、素直に素敵だなと思う自分がいます。これはたぶん、わたしが思う、「価値のあるもの」「美しいもの」の大事な側面だと思います

・わたしは、日本の人びとや日本社会が、全体として閉塞しているとも疲弊しているとも思いませんし、すぐに没落するとも思いません。ただ、何か制度や政策の面で変革が起きることによって、日本の人びとが今よりも「何かに積極的にチャレンジし、互いに失敗を許し合い、オープンでinclusiveな社会で生きていける」ようになるとするならば、それは喜ばしいことだと思います

・最後に、今日の話と直接は関係ないですが、「世界のことをもっとよく知りたい」という純粋な感情も芽生えています。初めてユダヤ教徒の友人ができたり、パレスチナ人の知り合いから学生運動に誘われたり、インド人のぎらぎらした感じにあてられたりしていると、もっとその国/宗教/民族の歴史をきちんと理解し、日本との関係を自分なりに整理し、自分の意見を適切に言えるようになりたいと思います。タブーを避けながらも、それらについて自分なりに学び、願わくば彼らと適切に意見交換ができたりするといいなと思いますが、まずは信頼関係を築くことが先だとも思います

日記469

・火曜はR及び計量の授業と、ヨーロッパの政治動向の授業です

・今日はRコードの課題提出日で、区切りがついたので帰りにラーメン食べてきました。通算2度目のめん吉。今のところここが一番、まともな味です。日本なら720円くらいで食べたいラーメンが2000円くらいしますが…

https://maps.app.goo.gl/C4wV9PydHrHmAr2d8

・ヨーロッパ政治動向の授業が今のところ一番面白いですね。最近のトピックは、政治態を支える2つの種類のsupportというテーマで、diffuse supportとspecific supportを分けて議論する視点を学んでいます。ヨーロッパのアカデミアでは90年代の終わりから盛り上がった議論です

EUにまつわる重要な年号は、ankiに突っ込んで記憶してもいいかもと思っています

・あと、フランス語の勉強にchatGPTを活用する方法を模索しています。穴埋め問題を作ってもらうとか、既に少しやってみましたが結構使えそうですね

日記468

・日記としてこのブログを復活させます

・まともな文章を書かず、日々の記録だけに使うということです。悪しからず。学校からの帰りのメトロの中で書きます

・今日はフランス語の授業とマクロ経済学の授業の日。マクロ経済学は、モロッコ出身の中銀マンによる講義が続きます

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Marc-Olivier_Strauss-Kahn

・授業終わりにRの中間試験。chatGPTを使ってコードの生成を試みますが随所に誤りが見つかって断念しました

・まともなことが書ける日は書きますが書けない日は書きません

日記467

・下書きが消えてしまったのでもう一度頑張って書きます。島根県隠岐の島、中之島海士町のことです

・わたしたちはもう一度繋がるべきだ、と思ってこの十年間を過ごしてきました。何を言っているのか、今はわからなくて大丈夫ですが、とにかくそうした自分にとって、この島での経験はかなり特別な意味を持ちます

海士町の概要は以下の通りWikipediaをご覧になってください。

 

海士町 - Wikipedia

・今年の夏休み、二泊三日でこの町を訪れました。東京からは、飛行機とフェリーで6時間は優にかかります。これだけリモートな地域にもかかわらず、この島、町では人口が増加傾向にあります

・それがなぜかと言われれば、それだけこの島が魅力的で人を引き付けるということにつきますが、その具体的な内容を少し、自分なりに掘り下げてみました

・一人称で考えます。まず、わたしは、いろいろなものからかなり孤立して生きています。あえて「疎外」といってもいいかもしれませんが、とにかくまずは、自然から切り離されて生きています

・それから、他人から切り離されて生きています。そうした生き方をおのずから選択しているかどうかはここではどうでもいいとして、とにかく、過去のどの時点よりも、他人から切り離されて生きています

・どうしてこうなったのでしょうか?自然からの疎外については、単純に住んでいる場所の問題かもしれません。やっかいなのは後者です。昔よりも交友関係は広がっているのに、他人と自分を切り離しているのはどうしてでしょうか。

・ひとつには、これまでになく、他人と同質になろうとしているからだと思います。なんとなく、そうであるべきという圧力を感じています

・同質のものには優劣が付きます。それで、勝手に他人と自分を比較して、勝手に優劣をつけて、勝手に自尊感情を傷つけたりしていたのだと思います

海士町の話に戻ります。隠岐の島は、島後と呼ばれる最大の島のほか、海士町のある中之島、その北にある西ノ島、同じく西にある知夫里島の3つの小さな島に分かれます。この3つのうち、西ノ島は漁業が比較的盛んであり、知夫里島はブランド牛「隠岐牛」の子牛の育成が盛ん、中之島隠岐の島で唯一稲作を行っています。つまり、島をまたいで分業し、それぞれの生産物を交換し合っています

・そこに優劣はなく、それぞれが力を補い合って生きています。こうしたやり方を自分の人生に当てはめて生きようとすることは、ナイーブでしょうか?

・自分は他人とは異質だと、もう一度認識しようと思います。そのための行動をしようと思います。つまり、人がやらないことをやろうと思います

・そして、もう一度他人と繋がろうと思います。繋がってもらえるよう、努力しようと思います

・わたしはあなたとは違います。そうしたわたしだからこそ、あなたのためにできることがあります。それを少しずつ見つけていこうと思います。それは、わたし自身を再発見することと同義です

日記466

・それで、金融政策について思うことを少し書きます。自分の直観を書き殴っているだけで、アカデミックな背景は何もありません

・まず、全ての金融政策は技術的な調整に過ぎないと断じるところから始めましょう。QQEとかマイナス金利とかYCCとかどんなに振りかぶってみても、過熱した経済を冷やし、過冷した経済を下支えする、以上の効能を金融政策に求めるのは間違っていると思います

・そうすると、分かりやすく問題になるのは、いかにして経済の過熱/過冷を見抜くかということです。これは複雑ですが、技術的な問題です。各国の金融政策実行主体(中央銀行や準備銀行)には、この問題に対しての技術的な経験則の蓄積があるはずです

・それで、誰もが考えることですが、果たしてAIは中銀総裁に取って代わるか、という問題は、もっと積極的に論じられてしかるべきだと思います。もしも金融政策が百パーセント、技術的な問題ならば、全てのパラメータを設定/入力することで、確実に効果のある政策を発現させることができるはずです。極端な話、かつての公定歩合制に戻したうえで、超高頻度でそれを調整し続け、常に最適な水準に金利を設定/誘導することができるのではないでしょうか

・なぜAI総裁とか、それに準じた発想が各国に立ち現れてこないのか?これはAI側の問題なのか、金融政策側の問題なのか、どちらでしょうか。

・さて、これを読んだ皆さんが今思い浮かべてるのは、物価の安定のためだけの金融政策ではないでしょうか?多くの国の金融政策は、マクロな金融システムの安定も目標としています。もしかして、そこまで考慮すると、つまり、金利の上げ下げによって物価だけでなくマクロ金融システムに影響を及ぼすこともあり得るから、そこまで現状のAIの判断の範囲が及ばないから、AI総裁は実現しないのでしょうか。

・でもそれでは、AIの性能の問題にすり替わってしまいます。論点はたぶん、そこではない。たぶん、公共的な政策に対して、ひとびとが期待する何かがあり、それはAIでは実現できないという直観がひとびとの間にあるから、AI総裁は出てきていないのです

・その期待のポイント、境界線は何なのでしょう。少しずつ紐解いてみましょう

日記465

・えーと唐突ですけど社会学者の宮台真司の言説について書きます

・時々、自分には社会学の視点が必要になります。最近、coreeconでマクロ経済学の予習というか復習というかをやってるんですけど、結局現代のマクロ経済学の理論って均衡に尽きるっていう感覚があるんですよね。それはなんというか、現代の経済学理論が持つ数学的特性からして仕方ないんですけど、算術としての解に辿り着くことが経済現象の原因も結果も説明していて、それ以上でもそれ以下でもない、はいおしまいみたいな、分かりやすさと冷淡さの極みみたいな境地なんですよね

www.core-econ.org

・ただ現実の経済現象に対しては、当たり前ですけど規範的な分析の視点を忘れてはいけないですし、初級マクロ経済学で平準的に前提されている理論の枠組みから外れて、社会経済一般の構造について議論することも必要だと思うんです。例えば今、上記の労働経済のモデルをやってるんですけど、ジニ係数がどうやったら上がったり下がったりするかをモデルで説明することは簡単ですよね。失業率が上がるか、マークアップ率が上がれば、ジニ係数は上がり、世の中の”格差”は拡大する、ということになります

・でもこれだけで貧富の格差を論じることは、当然ながらできないんです。「格差を解消しよう」という議論になった時に、失業率を下げてジニ係数が下がりました、はいおしまいということにはなりません。そもそもなぜ、格差が問題とされるのか、どのような格差だったら許容されるのか、なぜある特定の社会では格差が構造的に立ち現れてくるのか、それに対して人々は何を感じ、どのように行動してきたのか、といったことを総体として押さえないといけないんです

・その先にようやく、公共政策や経済政策を考える意味があると思うんです。だから今の自分にできることは、社会学の視座に少しでもにじり寄って、社会課題の背景にある構造を少しでもクリアに見つめる努力をすることだと思うんです

・そういう意味では、いきなり話が逸れますけど、金融政策が民主主義の基礎の上に成り立っていないというのは結構意味があることなんだと思います。財政政策と金融政策、そのどちらもが民主主義の上に成り立っていたら、およそ経済政策というものがスピーディに適切に判断されないリスクにさらされてしまいますから

日記464

・悩んでいるのでブログを書きます。

・留学準備というか、パリでの生活の準備というか、来るべき1~3年程度の自分の人生をどう過ごすのかということに関して、悩んでいました。どういうコンセプト、スローガンのもとで生きていこうかということですね

・なぜこんなに悩んでいるのか、理由ははっきりしています。最近、本を読んでいないから

・凡人の人生の悩みについては、全て、ほぼ全てといっていいでしょう、思索に秀でた賢人が考え抜いたことのある悩みですし、そもそも悩みの見つけ方、悩みとの付き合い方、忘れ方、思い出し方、悩みを変容させるやり方、あらゆる悩みとのあらゆる接地の仕方を、先達が本に記しているのです

・んで、まあそれはいいとして、来るべき数年の過ごし方について、ようやくコンセプトが固まってきました

・まず、この数年が自分の人生の転機になるということはおよそ間違いがなく、このタイミングで触れる何かが自分の人生を決定づけるでしょう

・ここで大事なことは、「それ」が何かを予想して、「それ」に備えることはできないということです。そうではなくて、何が来ても「それ」を受け止められるように、常に整理整頓されていよう、ということです

・なんかホラー映画のサブタイトルのようになってしまった

・で、そう考えると、これまで自分がやってきたこととあんまり変わらないんですよ、実は。日々の営みを大事にして、何かが溜まったり淀んだりしないように、日々少しずつお片づけをしながら、毎日同じように生活していくということなんです。だから、例えば年初に決めたルーティンのようなもの、こういうものを少しずつ改良しながら、毎日を大事に生きること以外に、やることなんてないんです

日記463

・おかげさまで第一志望であったScience Po, Master in Public Affairsに合格しました。

www.sciencespo.fr

・このへんの記録もあとでしておきます。というか、記録はしてあるので、あとは書き起こすだけです。第二志望のパンテオン・ソルボンヌ(PSMEという英語の経済学修士)も含め、仏国の大学にはいくつか合格した(落ちたところもありますが)ので、誰かの役に立つように、どこかで記事にします

psme.pantheonsorbonne.fr

・わはは

・んで、火急の課題として、現地での生活の立ち上げに向けた準備(含む仏語の復習)と、アカデミックなクラスへのキャッチアップに耐えうる英語力の構築に努めなくてはいけません

・この二か月ほど、英語発音の独習と英会話に取り組み、いくつか分かったことがあります。まず、漫然と会話するだけでは英語力が伸びていかないという、当たり前の事実。それと、発音の重要性。

・結局仏語を短期間で習得できたのは、発音を徹底的に鍛えてもらったからだと思っています。自分の発音がしっかりしているので、リスニングをしていても仏語が仏語として頭に入って来るし、リーディングも頭に入ってきやすい

・じゃあまあ英語も発音をしっかりやりなさいよということで、この二か月くらい、正確には3月から4月にかけては、英語発音を独習しました。今もスキあらば、YouTubeで発音解説の動画を観たりしています

・えらいな~

・ただまあ、出国までの残された期間が3か月ぴったりなんですよ。90日弱。どうしましょう

・こういうとき、映画「マネーボール」で、ブラット・ピット演じるビリー・ビーンが、キャンプ中の選手の出来の悪さを嘆くコーチ陣に言うセリフを思い出します。”Vous avez six semaines.”

・6週間あれば、メジャーリーグのフィールドプレイヤーを育てることができます。90日あれば、そして本気で取り組めば、仕事をしながら、英仏語を徹底的に鍛えることはできます。気持ちの問題です。そして気持ちを固めるために、人はブログを書くのです

・90日と言うと、約12週間ですか。一日1.5時間勉強できるとして、135時間勉強できます

・あ、全然関係ないですけど、英仏語に関して、自分が1分間に何語読めて何語書けるか、どこかで記録しておかないきゃと思います。現地で授業や課題を計画的にこなすのに必要なので

・まあそれも準備のうちのひとつということですね

・この135時間をどう使うか、また記事にします

日記462

・久しぶりにブログを書きますね。

・少しだけ近況をアップデートしておくと、まず、留学関連では、合否が出始めています。パリ・ノール大学というところの経済学修士課程は合格連絡が来ていますが、本命校の合否を見て、ここに行くかどうか決めることになります。この大学は選考過程に面接もあったので、その辺の模様も後で書きましょうね

・それで今日は何かというと、英語の勉強についてですね。ちょっと見直してみようと思ってブログに書いておきます

・今、すったもんだあって、DMM英会話の毎日30分コースを約一か月間、毎日こなしています。英会話は初めての経験ですが、それなりに続いているということはたぶん楽しいのだと思います

・しかしまあ、楽しければいいのかという話もあって、ちゃんと自分の目標を見極めて、時限性を意識しながら取り組まないと、時間だけが過ぎてしまうと思うのですね。そんな危機感からブログを書いて自分の考えを整理しておこうという魂胆です

・もうすこし現状を記述しておくと、発音の勉強もしています。いまから当たり前のことを書きますけど、会話をするにあたっては、結局は相手とのコミュニケーションであると意識することが大事であり、そのためには相手が言っていることをきちんと理解することが大事であり、相手の発音を正しく理解することが発話の内容を正しく理解することと同義だよねということです

・要するに、自分が発音できない言葉は聞き取れないという、それだけのことを長々と書きました

・それで、改めて英語の子音と母音の発音を独学しています。子音は終わったので、あとは母音をやりましょう

・それでまあ、英会話のゴールを何にするのかをつらつらと考えたり、ここまでの反省を活かして新しい方法論を編み出したりしようかと思いましたが、にわかに面倒くさくなってきてしまった。たぶん、そんなことを考える必要などなくて、いまはこの習慣を続けていくことが大事なのだと思います

・確かに、もう少し流暢にしゃべれるようになりたいなとか、もう少し幅広いボキャブラリーを使いこなせるようになりたいなとか、そういうことはいくつかあるんですけどね。なんかあんまり考えても仕方ない気がしてきた。現状、英会話を毎日やるというかたちで実際に行動しているということが、何より重要なのではないでしょうか

・うむ。なのでたぶん、日々の英会話に、もう少し負荷をかけてもいいのではないかというのが、自分の直観なのだと思います。が、まあ、もう少し様子を見てみましょう。それができるだけの大人になりました