日記474

・前回のポストの続きですけど、自分がどんな分野や事項に関心のある人間なのかということを改めて考えています。いつまでこんなことを考えているのかと言われるかもしれませんが、いつまでも考えています。

・今まで興味があったこと、純粋にわくわくすることが何だったのか、何に対して比較的強く興味を抱いてきたのかを抽象度を上げて考えようということです。それで、一言で言うと、それは公共的な空間、Public Sphere だと思うんです

・人が3人集まるとそこには公共空間ができるわけですが、これをいかに良くデザインするかとか、それをいかに良くメンテナンスするかっていうことに関して興味を抱いてきました。具体的には、まずはPublic Sphereの例として、物理的な土地空間を挙げます。

・例えば動物園であったり、テーマパークであったり、そういうものに興味を持ってきたというのは以前から書いている通り。地方創生とか、まあそういうものにも結構興味を持ってきました。

・ほかには金融市場も公共空間の一つですよね。いろんな人が集まって取引をするみたいな、そういう場所ってある種の公共空間なので

・あとはすごく卑近な話で、例えば銭湯が好きなんですよね。あれって何が好きかって言うと、やっぱりPublic Sphere なんですよ。公共空間で、こう人がマナー良くしてるみたいなのが結構好きなんです。それは別にマナーが守られてるのが好きってことじゃなくて、公共的な空間において人々が互いに、いかに心地よく過ごすかに関して心を砕いてる、そういうのを見るのが好きなんですよね。

・とにかく、そういう公共的な空間に結構強い興味を持ってきました。そういう意味では企業のガバナンスとか組織のガバナンスっていうものにも結構興味があって、それはこの間も書いた通り、自分が今まで生きてきた中で、組織のガバナンスっていうものが公然と踏みにじられるような社会的事例っていうものを見て育っていて、そこに対して根強い不信感みたいなものを抱いてきたってことです

・で、その上で公共空間に関してどういうアプローチで興味があるかってことなんですけれども、言ってしまうと、公共的な空間をよりオープンにすること、あるいはトランスペアレントにすること、あるいはプレーンにすること、そういうことにすごく興味を持ってきました

・公共空間のデザインというと、例えばマッチングとかゲームセオリーに興味があるのかって思われることもあると思うんです。公共空間のメカニズムに興味があって、それをデザインすることに興味があるって言うと、じゃあ何かルールの解明とかルール作りに興味があるのかって言われるかもしれないけど、そこは必ずしもそうじゃないです

・公共空間におけるメカニズム、これを知ることは一定大事だと思うんだけれども、そこにどんなゲームのルールが働いてるか、あるいは働いていくべきかという、その詳細をディサイファーしていくこと、解明していくみたいな営みにはあんまり興味がないんです

・ある公共空間の中で、あるメカニズムがどうやら働いているようだということをざっくりと知ることは大事だと考えていて、その原理原則みたいなものを使って公共空間そのものをメンテナンス/改善していく、みたいなことには興味はあるけれども、あまり突き詰めて細かいゲームルールを変えていくとか、ルールの文言をこういう風に変えようみたいな、そういうことにはあんまり興味がないんです

・もちろん、いまあるルールをよりプレーンにしましょうとか、よりトランスペアレントがしましょうみたいなことには興味があるんだけれども、あまりにも複雑なメカニズムについて、一つ一つ丁寧に骨組みを浮き上がらせていくみたいなことには、実はあんまり興味がないと思います。

・公共空間については、呼び方はいろいろあって、例えばインフラっていうのか土俵っていうのかあるいはフィールド、バトルフィールドっていうのか、それはよく分かりませんが、とにかく公共空間のそのデザインとかメカニズムに興味があります

・結局、公共空間のデザインとかそのメンテナンスに関して、何が好きなんだと問われると、まずはそのフィールドというか場を設けるとか、ゼロから作ると、そういうことに興味があります

・ただし、その公共的なフィールドとか土俵とかそういうものを作ったからといって、そこを自分で埋めていくとか、自分がプレイヤーになるって事は、やっぱりあんまり興味がなくて、ただその場を作ることによって、その中で人々のコミュニケーションであるとか、化学反応、つまり本来であれば出会わなかったものが、その公共的な空間を介して出会うっていうことにすごく興味があるんだと思います。

・公共的な場を作り、そのフィールドの中で本来出会うことのなかったはずの人々が出会ってコミュニケーションを取って化学反応を起こしていき、それがやがてポジティブなエネルギーとかパワーになっていくっていうことにはすごく興味があります。ある種、そういうビオトープみたいなものを物理的に作りたいんです

・なんかこうやって言語化してみると、結構「当たり判定狭いな」と思いますね。公共的な空間のデザインとかメンテナンスに興味はあるものの、そのルールを細分化していくこととか、ルールを改良していくことに興味があるわけではない、と。で、今ある既存の公共空間のそのメカニズムというものについて、なんか突き詰めて、それを詳細に分析していき、より良いメカニズムを発見する、みたいなことに興味があるわけでもない、と。

・ただし、恐らくなんだけれども、今はなんとなくクローズになっている、あるいは opaque になっている、complicated になっている、そういう公共空間をオープンにトランスペアレントにプレーンにしていくことを通じて、今まで起こり得なかった人と人とのコミュニケーションとか、人と動物でもいいんだけれども、そういうコミュニケーションの温床を育てていくみたいなことが好きです。その結果について、まるで想像が及ばないような化学反応が起こる場を提供することに興味があるんだと思います

・テーマパークとかを作ることに興味があるのも、多分、そういう場を提供することによって、人々が今まで経験し得なかった経験ができるようになるっていうのがあると思います。ディズニーランドという場を提供することによって、人々の心の中に感動を与えるとか、USJ だったら何でしたっけ、驚きを与えるみたいな、なんかそういうのあったと思うんですけど、そういう心理的作用とか、そういうものを芽生えさせることは結構興味があります

・それで別に、心理的作用を芽生させて終わりじゃなくて、それが何か人々をエンパワーしていくとか、何か新しい事業がエンパワーされるだとか、新しいビジネスが生まれていくみたいなことには興味があるんですね

・ビジネスに関して言うと、ビジネスチャンスを利用して、自分を含めた誰かが力をつけていくこととかにはあんまり興味がなく、むしろそのビジネスチャンスの種みたいなものを作り出すことには興味があるんだと思います。

・せっかくなので種のメタファーを使い続けてみると、なんかこう、古くなっちゃった木を伐採する、それによって、光が地面に当たるみたいな、そういうことにはすごく興味があると思います。腐りかけているものをまずはプレーンにすることで、その土地をオープンにし、トランスペアレントにして、種をまく人々が入ってきたりとか、自分で何か種をまいたりして、その芽が出るかどうかを見守るみたいなことにはかなり興味があると思うんです

・それを今の会社でやろうと思ったらどうしたらいいんでしょうね。一つすごく簡単に思いつくのは、やっぱり日本の金融機関を含む、企業の再生ですよね。統廃合を伴う再生に関しては多分すごく興味があって、今後日本の企業や金融機関のハンドリング、中央銀行とか規制当局によるハンドリングがそういう方向に向かっていくのであれば、それはやってみたいなと思います

・別に今の日本の企業や金融機関が腐りかけていると言ってるわけではないですが、ただゾンビ的なものの数が多いのは事実で、一部の議論として、そういうものを統廃合するべきだという話が出てくることは承知しており、そういう腐りかけたものをぶっ倒す時ってやっぱり大変だと思うんですよ

・今立っている木のうち、まずどれが腐りかけてるのかを見極めて、それを後腐れなく、「これはもう倒れてもしょうがないよね」っていう方向でぶっ倒していくと。もちろんそれだけじゃダメで、それによって新しいフィールドに日が当たるようにしていくっていうこともやる必要があって、その経験を通じて普遍的な教訓を得られると思います

・一方で、「どうにかして腐りかけてる木を延命します」みたいな営みには全く興味がないですね

・もう1つの分野は、デジタル通貨を含む決済システムですかね?ただこれはもう、結構もう芽が出てきちゃったと思います。これは新しい公共空間、フィールドだと思うので、これがどう育っていくかっていうことを見守ることには割と興味があるかもしれません

・これは既存の、現金という、かなりスライブしている木に対して、おそらく当面は相互補完的な役割を担っていくので、そういう意味ではまだ何かをぶっ倒すようなフェーズじゃないんですね

・例えば現金というものが明らかに腐り始めていて、これをぶっ倒さなきゃいけないけど、なんか勇気がなくて手がつけられないみたいな時に自分みたいな人間が切り込んでいってこれを効率よくぶっ倒すっていうようなことには結構興味があるんだけれども、今のまま行くと多分、すくすくとデジタル通貨という木が育っていき、現金の機能を多少は奪うが、ただどっちも太い幹を持った木になっていくみたいな、そういう未来を直観してます。そうなるとあんまり興味がない

・そういう意味では、ぼくの興味のある範囲って結構ざっくりしていて、かつ応用可能性があるっていう、そういう興味の範囲の持ち方をしているんだと思います。特定の分野のここに興味があるとか、技術的にこういうことに興味があるってことはあんまりなくて、営みとして公共空間をよりオープンにトランスペアレントにプレーンにしていき、それによってその場で生まれる人々のパワー/エネルギーみたいなもの、あるいは生きる力みたいなものをエンパワーしていくっていうことに興味があるので、それって別に分野としては何でもいいじゃないですか

・なんでかって言うと冒頭書いた通り、人が3人集まるとそこに公共空間ができるからですよ。組織のガバナンスみたいなものにも興味があるわけなので、そういう意味では、どこでもいい。人が集まってるところであれば、どこでもできるわけですよね。

・だから今後勤める部署とか転職とかに関しても、そういう仕事ができるかどうかを軸にしていくのがいいんじゃないかなと。今の会社で、ないしは自分が転職可能な企業の中で、そういう仕事ができる場所をうまいこと見つけ出していくっていうことだと思います

・まずは、結構難しいかもしれないけど、そういう仕事の仕方で、今いる会社で実績を出すことに注力しなきゃいけないと思います。それは組織ガバナンスの面で注力をするということなのかもしれない、つまり、チームビルディングみたいなところで注力をするのかもしれません。これは実績としてはかなり分かりにくくなっちゃうと思うんだけど、「こういう経験をしました」とはっきり説明できるようしておく必要はあります

・組織のガバナンス、チームビルディングの面でそういうことをやっていくのか、あるいは会社での事業上の成果としてそういうことを残していくのかっていうのは結構考えた方がいい。

・問題は、まず前者の方は割とふわっとした話なんですよね。もちろんいろんな努力をして言語化することは必要だが、例えば転職を考えた時に、その転職先の企業に、「自分はこういう効果をもたらせる人間です」っていうことを証明しなきゃいけないので、結構難しいと思うんですよね

・後者について問題なのは、今いる会社でビジネスとしてこういう仕事ができるかっていうのを考えた時に、なんかパッとは思いつかない。事業として、何か腐りかけているものをぶっ壊してよりよい公共空間を作るっていう、その成果の出し方って、あんまりパッと思いつかないんですよね

・かつ、それは思いついたところで、それを転職先の企業で応用可能であるっていうことを証明するのも結構難しいと思います。ただまあ、やんなきゃいけないだろうなとは思います

・多分、大切なことの一つは、この感覚を持ち続けることだろうなと思います。自分の中では、今この、「公共空間をビルドする」というキーワードが割とすんなり腹落ちしているので、今後何か、理由をつけてここから離れていこうとすると、自分の中で不協和音が生じるんじゃないかなと思いますね。その不協和音をやっぱり見逃してはいけなくて、そのためには常にこのキーワードに立ち返ってくるってことをやった方がいいと思いますね

・仮に例えば、自分が将来的に仕事をしていく中で、自分が設定したこのキーワードになんとなく合致してないような仕事をしてるなという感じた時にきちんと後戻りできるよう、このキーワードを忘れないように仕事をしましょう。この辺は、東浩紀の「訂正する力」と通じるものがあるかもしれません

・逆に言うと、このキーワード抜きに、なんとなく、自分が今やってる仕事がなんだか合わないなぁと思って転職しようとしても、あんまり意味がないというか、それこそジョブホッピング的になってしまい、今まで自分がやってきたことややれてきたことだけを念頭に、近しい業界にとりあえず転職します、みたいな、そういうことだけは避けた方がいいなと思います。