日記476

・今日は英語の話です。自分の秋学期を振り返って、英語の理解力/発信力がどうだったかを改めて振り返ります。

・最初はいわゆる言語の 4 技能について、それぞれ授業や友人とのコミュニケーションに必要な能力をブレイクダウンしてみて、自分の実力を評価するマトリックスを作ったんですよね。ただ、評価をするうちに、このマトリクス自体が重要なわけじゃなくて、そこから見えてきたインサイトがあったので、それについて書きたいと思います。

・今日のテーマを一言で言い切るとすると、やっぱり「話せないことは理解してないことと一緒」ということなんですね。つまり、授業を受けてみて、なんとなく理解したつもりになっていても、それを自分の言葉話すことがきないというのは、これは理解してないのと一緒かなと思いました。

・もう少し言うと、「理解をするということ」と「発信をするということ」が表裏一体である、ということが、少なくとも英語という言語においては強く妥当する、というのが今日のメッセージです。

・これに関しては、英語について、よく表面的にというか、少なくとも自分には今までそう聞こえてきたということなんですが、英語を理解するためには、英語の思考のフレームワークを自分の頭の中に作らなきゃダメだみたいな話がよくあると思うんですけど、それを今、実感を持って理解しているということです。

・つまり、何かを理解する=何かを話す/何かを発信するということを、英語という言語のフレームワークの中でやっていくということが大事なんだなということを今日実感したので、その話をしていきます。

・さて、自分が最終的にどうなっていたいかというと、これは今学期の目標としても掲げてるんですけど、例えば論文とかを与えられた時に、それをさっと読んでポイントをつかむことができ、その上でその知識を議論に使うことができるということ、なんですね。

・この「議論に使える」ということ、つまりスピーキングして発信するということなんですけど、それがどういう状態かと噛み砕いて考えてみると、例えばその論文から得た情報を自分の既知の情報と比較できるということに他ならないんじゃないかなと思ったんですよ。

・つまり、何か論文を読んでみて、新しい知見が入ってきて、それを例えば今までの自分の経験と比較して語ったりとか、自分の知見とどう相似/差異してるかを語ったりとか、抽象度を上げてみたり下げてみたりして話せる状態を目指したいんです。

・そうすると結局、今までなんとなく論文をぼんやり読んだりとか、あるいは授業に関連するビデオを見るとか講義を聞いたりする際に、必ずしもすべてがしっかりと頭に入ってこなかった理由もなんとなくわかるんです。それはつまり、わかりやすく言うと目的意識が不足していたというか、何で授業を受けなきゃいけないのかとか、それを通じて何を知りたいのかというのが自分にとって明確になってなかった可能性があるんです。

・つまりそれは、自分の経験とか知見というものと結びついてないということなんですね。要は論文を読んだ結果を自分の議論の材料として語る自分の姿を想像できなかったんですね。

・これは多分、英語的に言えば、読んでいる英語表現が自分の中であまり立ち上がってこない、自分の心の中に生き生きとビビッドに描かれてこないということが起きていたんじゃないかなと思うんです。

・なのでファーストタスクとしては、自分の頭の中に既にある経験とか知見とか情報というものを言語化することが挙げられます。結局情報って、何かと結びついて初めて生きたものになるわけで、まずは自分の知識を棚卸ししないと、その結びつきができる基礎が整わないんじゃないかなと思います。

・なお、英語の思考のフレームワークについて少しだけ触れておくと、すでに例えば論文を読んだ後にポイントをまとめるということを先学期にやっていたんですね。論文をまとめる際の切り口、すなわちフレームワークというものはすでに持っていて、それは例えば「この論文は何を言おうとしているのか」とかそういうものですが、それはすでにいくつか持ってるんです。”What Can you Make a Use of This for You?”、とかね。多分、どこかでやるべきなのは、このフレームワークのバリエーションを増やしつつ、よりグラニュアルにする、ということです。

・棚卸しに戻ると、具体的にはミクロ経済学とかが今学期の必修になっているので、まずは今まで自分が学んだミクロ経済の知見のうち、今頭の中に入っている事項を、人に説明できるものとできないものに峻別しておきたいなと思います。それがファーストステップ。

・次に、もう少し別の角度からも考えてみたいんです。つまり、何か授業を受けました、あるいは論文読みました、と言うと、そこには必ずメッセージがあるわけですよ。授業で吸収しなきゃいけないメッセージとか、ある論文を読んだ際に得られるはずの知見、つまりオーサーが言いたい事というのがあるんです。そのポイントをつかまなきゃいけないじゃないですか。それがゴールですよね。

・ここで改めて整理したいのは、人の主張とか人の伝えたいことを「理解した」と胸を張って言えるのはどういう状態なんだろうということです。

・冒頭書いた通り、それは自分の言葉として、その主張を再解釈して発信できるような状態にすること、つまり理解と発信は表裏一体だということに尽きるんですけど、それだけだとまだぼやっとしているので、その話を今突き詰めて考えたいと思ったんです。

・まず押さえておきたいのは、だいたい論文とか授業とか、あるいは人がしゃべること/主張/伝えたいことには、必ずこれを支えるための論証とか説明、各論と言ってもいいかもしれないけれども、そういうものが必ずついている、ということです。つまり主張と論証が必ずセットになっているというのが、これが基本形ですよね。

・もちろん「お腹が空いた」という主張だけをされてもいいんですが、それぐらいのことは自分はすぐ理解できるので、ここで問題にしたいのはもっと複雑な話、つまりぼくが今、英語で理解が及んでいない領域の話です。

・この領域では、主張と論争がセットになってると思うんですね。必ず最低限、この主張は理解しなきゃいけないよねと。ということなんです。で、ぼくの考えでは、この主張の論証の仕方というのは、 いくつか段階というか、グラデーションがあると思うんすよ。

・ものすごく分かりやすい主張は、直接的な主張。例えば授業とか論文の中とか、 I think とか We believe とか We found とかというのが出てくれば、あ、これ主張だな、重要だなとわかるわけじゃないすか。

・多分、これを捕まえることは結構できていると思うんですよ。一方、この直接的な主張って多分割合にすると話者の発話(書き言葉含む)の全体の 5% ぐらいしかないんじゃないかなと思うんですよ。

・代わりに多いのは、間接的な主張ですよね。話者自身の考えを例えば伝聞によって主張する、例えば「あの論文でこんなことが言われている」とかというもの。特に、今日お話する中で一番大事だなと思うのが、この間接的な主張の中に含まれているもので、いわゆる「語り」というものがあると思うんですよ。

・それは事実の伝達ということで、個人的に英語でこれは description だと思うんですけど、何かを描写するという主張の仕方があると思うんすよ。これが、人間の発する主張的言語コミュニケーションのほとんどを占めてるんじゃないかなと思うんです。主張だけの主張ってなくて、description を山ほどやったうえで、最終的に主張につながる、と。報道なんかに至っては全部 descriptionですよね。

・とにかく describe して、その中でこう、主張っぽいものをにじませていくというものが、これが現実世界で起きてる主張、メッセージの伝え方なんじゃないかなと気がついたんです。

・そうするとこの description の中で特に大事になってくることが一つあるとぼくは思っていて、それは当たり前なんすけど、登場人物なんですよ。別に人じゃなくてモノでもいいんすけど、登場人物なんです。

・人が英語で何かを describeする時に、主語が登場しない事ってないんですね。当たり前ですけど、英語で S を含まない文型って1 個もないわけですよね。

・ぼくは結構、今までこの S、主語の部分を結構適当に処理してきちゃったんじゃないかなと思ったんですよ。この主語を、リスニングでもリーディングでも、英文解釈してはっきりさせていかなきゃいけないと思います。英語って必ず S が最初に来るじゃないですか。疑問代名詞も含めて。そこをきっちり聞けると、きちんと頭から全部英語が頭に入ってくるって気が付いたんです。

・さっき実験もしたんですけど、人の話を聞くときに、とにかくこの主語が何なのかというのをイメージするんです。つまり単語じゃなくて、本当に description 、例えば絵とかイメージとして頭の中に描くと、すっと入ってくる、そういう直感を今、覚えてます。例えば、じゃあ何か、リモートワークの状況について説明をしている人がいて、その人が例えば ”One third of employee…”とかって話し始めたら、これまず絵として頭に思い浮かべるんです。例えば円グラフを書いて、その 33% ぐらいを赤くするんですよ。三人の人のピクトグラムでもいいんですけど。

・その後ろはまあ、頑張って聞くんですけど、とにかく今までよりもこの主語の部分、主体の部分をきっちり区別して、頭の中に主語登場人物を思い浮かべて聞く、あるいは読むということを心がけることが大事なんじゃないかなと思うんです。

・そうすると、相手の description もスッと入ってくるんですよ。自分の頭の中で、登場人物がどうにかなっているイメージを膨らませられると思うんですね。で、自分が発信するサイドに回った時も、そのイメージを、言葉じゃなくてイメージを後から思い出すんですよ。ポンポンポンと 3 人、人がいて 1人が赤くなってるのを思い浮かべて、その人だけがリモートワークしてるみたいな絵を、思い浮かべるんです。

・そうすると自分としても、いくらでも description の仕方があるわけですよ。One third of と繰り返してもいいし、33%と言ってもいいし、そういうことをパラフレーズする能力はたぶん付いてきています。

・なので、今やらなきゃいけないことは多分、何が主語なのか、文中とか話者の話の中で、今、何が主語なのかというのを、きちんと英語の知識に基づいて見極めるという事を、もう一度やろうと思います。

・主語と言ってもいろいろあるわけじゃないすか。動名詞だったり代名詞だったり、いわゆる仮主語/意味上の主語とかというやつがいろいろあるわけですけど、その中でも「本当の主語」をうまくリスニングやリーディングの中でピックアップしていくみたいな、多分そういうことが今一番大事なんじゃないかなと思うんです。きっちり意味上の主語を取れるようになったら、自分が何かを英語で説明する時もかなり役に立ちます。

・まとめると、主語が何か、主体が何かを紙芝居として、相手が何を describe しようとしているかというのを強烈に思い浮かべるということを意識しましょう、と。同時に、自分の知識をもろもろ棚卸して、それを英語にしましょう、と。今はもう、音声で自分の知識の棚卸しができる時代なので(書くのは嫌いだけどしゃべるのは得意です)、それをただChatGPTでもなんでもいいので英語に変えてもらえば、自然な表現を学べます。

・そして発信が必要な時には、必要な引き出しを開けて紙芝居を出して、紙芝居に書いてある絵を describe すればいいんすよ。そんな感じでやろうかなと思います。そうすると多分、これまでの丸暗記英語みたいなのを避けられるんじゃないかなと思ってます。