日記425

・直近のエントリーで書いたことについて勘違いしていただきたくないことは、別に、シリアス/ペシミスティックな物語こそが人の心を打つ、と言っているわけではない、ということです

・むしろ、最近巷間をにぎわせているエンタメ作品は、過度に読者の感情を煽る展開や設定が多くあって、言ってしまえば下品なものが増えてきていると感じます

・一番卑近な例からいきますか。Twitterとか、YouTubeとかで広告の対象となっている、「ウェブで読める漫画作品」の類についてです。こうした作品群の最近の傾向をみていくと、復讐とかリベンジとか、「不遇な環境に置かれた者が立場を一気に逆転させる」みたいな展開がかなり多いんですね。広告の内容しか見ていないからよく知らんけど

・で、これって、やっぱり受け手の脳に直接響くような展開/設定なんですよ。誰しも自分が辛い思いをしたときのことはよく覚えているものですから、共感もできますし、そうした境遇に置かれた際に一発逆転ができたらどんなによかったか、というカタルシスも抱えている

・でもですね、現実問題として、人生において一発逆転みたいなことは起きないんですよ。私も薄ら20年以上生きてきてやっと分かりましたけど、宝くじが当たったって不幸な人は不幸だし、小さなことを毎日積み重ねていくことでしか、自分の人生/境遇を良くする方法ってないんです

・だからこそ、実際にありもしない一発逆転を、「フィクションだから楽しければいい」という浅薄な思考で割り切って、世の中にそうした作品を浸透させようとするのは品の無い行為なんです。別に、そうした出版社/メディア企業の判断について、ダメだと言うつもりもありませんが、マナー違反だとは思う