日記379

・渋谷のユーロスペースで、「feels good man」を観ました。インターネットミームの恐ろしさを描いたドキュメンタリー映画

・先般の大統領選挙と議会襲撃を目の当たりにしてもなお、隠れトランプっつー人達のパワーがどこから湧いてくるのかよく分からなかったんですけど、それに対するかなりクリアな答えを得た気分です

アメリカのオタク文化の負の側面と言ってもいいと思うんですけど、そこに焦点を当ててるのが印象的でした。中でも秀逸だったというか腑に落ちたのは、彼らが自分自身を「ベータ」と呼称していることです

・これ、つまるところ、群れで行動する動物種において、群れのボスたるオスを「アルファ」と呼称するところから来てるわけですよ。それに対し、メスを獲得する資格を失ったもの、社会的競争に負けた自分達をベータと呼んで自虐している

・で、さらに考えなきゃいけないのは、なぜこうした現象が日本では起きないのかということですね。

・もちろん、引きこもりの人が引き起こす凄惨な事件というのは数知らずありました。数年前の、京都アニメ会社襲撃事件なんかは記憶に余りにも生々しく焼き付いています

・ただし、こうした事件が集団を巻き込んで暴徒化するという事例は、ぱっとは思い付かない。これは、「日本人の穏やかな国民性が〜」みたいな鈍ら刀では切れないでしょう

・これ、個人的には、アメリカンドリームの裏返しだと思うんです。「グレート・ギャツビー」なんかに端的に著されるような、「才覚と努力でのしあがれば巨万の富が手に入る」という。ここに、「意中の女性も思いのまま」というところまで加わると、それはもはやカウボーイ文化の時代まで遡らなくてはいけないんですけどね

・つまり、アメリカンドリームという、強すぎる光があったあまりに、落ちこぼれ精神という闇も深くなってしまったという解釈です。そこを行くと、日本社会もまぁグローバル化しましたけど、地方を中心に横並び意識は未だ相当強いはずなので、あまり深刻化しないというね(繰り返しですけど、個々の事件は凄惨なものだし、決して許されてはいけないものです。暴徒化/集団化していないという点が異なるというだけです)。

・カエルのギャグ映画かと思ったら、かなり勉強になって良かった