日記55

・神楽坂にある、赤城神社という神社にお参りしてきたんですけど、この神社、やたらモダンで面白いんですよ。敷地内に当たり前のようにカフェが併設されていて、その建物がバチバチのガラス張りだったりする

・あと狛犬が、なんていうんでしょう、いいカンジにデフォルメされていて、それもすごい今時のデザインなんですよ

・ほかにも、「宝物殿」っていうのも併設されてて、まあそれ自体は色んな神社にあると思うんですけど、ここのは宝物殿の名称が「宝物殿ギャラリー」なんですよ。ありがたみ...

・「きみは誤解している」(佐藤正午)を読みました。佐藤正午については、最近「月の満ち欠け」をやたら書店で見かけるし、誰か有名な作家(誰だか忘れた)が絶賛していたので、ずっとよみたいと思っていたんですけど、「月の~」が長すぎるので躊躇していたところ、いい感じの短編集を見つけたので買って読んだということですね。説明、なげ~~

・JRの駅員として勤める傍ら、競輪を趣味とする30代の男の話です。同じく国鉄に勤めながら競輪を趣味としていた父親の死をきっかけに、父親の遺した当たり車券を元手にして、何かを求めるように競輪場に通う頻度が増えていく、みたいなストーリー。

・何が面白いかって、主人公も、主人公を競輪から引き離そうとする恋人も、お互いの言いたいことが、言う前から全部分かってる点ですよ。恋人としては、そうは言っても主人公の競輪が、趣味の範囲を出ないことをわかっているし、だからこそ強く文句も言わない。

・でも、主人公が「競輪を通じて、何か自分の人生で大きな賭けをしたがっている」という、到底実現しないような野望じみたものを心の中で渦巻かせていることも、分かってしまっているんです。だから、主人公には競輪をやめさせたがるし、JRの社員として、堅実に勤めてそこそこに出世して、一生を終えることを望んでいる。

・こうした恋人の思惑を、主人公も全部分かっています。でも、主人公には、自分が癌の家系であるという制約が付きまとう。自分の父が、国鉄社員として堅実に勤めあげ、自分の人生で何か大きな賭けをすることを我慢しながら、老後は癌であっけなく死んでしまった光景が目に焼き付いているわけです。恋人の気持ちも分かっているし、自分の気持ちを優先すれば二人の関係が壊れてしまうことを分かっていながら、自分に素直になることをやめられない。

・結局、何が正しいかなんて到底分かりませんし、そうした中でもわりと主人公を正当化するような視点で話が進んでいくわけですけど、主人公と最後の口論をする恋人の「あなたは自分の人生を、あたしとの結婚にじゃなくて、もっと大切なものに賭けたいと思ってて、それを競輪場で必死に探してる」みたいな一言は、主人公を一気に突き放します。読んでるこっちが、グッサリと刺される。こういうのが、先日書いた、バダ=ハリの右ストレートみたいなやつです

・というわけで佐藤正午、一発で好きになりました

・重めのブログを書くといっておきながら、普通に読書感想文になってしまった。今日は小山田浩子の「穴」を買ったので、いつか読みたい

・ちょっとずるいけど、重めのブログは下書きにしといて、明日公開しようかしら

・「重めのブログ」ってなんだよ